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顧客感動を与えることよりも重要なこととは?

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顧客ロイヤルティを高めるために多くの企業で様々な工夫がなされています。本記事では、顧客の期待を上回ることではなく、下回らないことの重要性について触れ、顧客ロイヤルティを高める上で重要な取り組みについて考察していきます。

顧客感動を与えることよりも重要なこととは?

顧客に感動を与える。
それが顧客ロイヤルティを高める上で最も重要なことだと考えている人もいるでしょう。 ザッポスやリッツカールトンなど、カスタマーサービスに定評のある企業には必ずと言っていいほど感動的なエピソードがあります。おそらく、皆さんもこうした企業の感動的なエピソードを一度くらいは耳にしたことがあるでしょう。 そして、これらのエピソードを参考に「顧客感動を与えるために何ができるか」と考えたこともあるのではないでしょうか。

しかし、本当に「顧客に感動を与える」ということを重視する必要はあるのでしょうか?
それよりも他に重視すべきことがあるのではないでしょうか?

ある調査*1によると、良い体験をした顧客のうち24%が、2年以上その会社を継続利用すると回答しています。一方で、悪い体験をした顧客のうち39%が、2年以上その会社の利用を避けると回答しています。
また、良い体験をした人が他の人にその体験をシェアする割合は87%で、5人以上にシェアする割合は33%でした。一方、悪い体験をした人が他の人にその体験をシェアする割合は95%で、5人以上にシェアする割合は54%でした。

この調査から見て取れるのは、悪い体験の方がその後の顧客行動に与える影響が大きく、企業や製品に対する信頼度低下にも繋がりやすいということです。
つまり、“良い体験を提供すること”に注力するよりも、“悪い体験を提供しないこと(期待を下回らないこと)”に注力した方が、事業の成長や顧客ロイヤルティに対してプラスになると考えられます。

感動を与えるようなカスタマーサービスを追求する前に、基本的なカスタマーサービスの質を高める必要性があるでしょう。 「顧客に感動を与える」というと聞こえは素晴らしいですが、再現が難しく、単なるお題目に終わってしまうケースもあります。 一方、「基本を徹底的に」というスタンスで、以下で紹介するような取り組みの質を追求した方がより具体的で、顧客ロイヤルティへの貢献度も高くなるのではないでしょうか。

では、悪い体験を提供しない(顧客の期待を下回らない)ためにはどのような考え方、取り組みが必要なのでしょうか?

顧客の努力を減らす

例えば、このような手間だらけの製品やサービスがあったら、どうでしょうか。

「製品が複雑で問い合わせしないと使い方がわからない」
「窓口への連絡先を探すのにも手間がかかる」
「質問への解答をもらうまでに長時間待たされる」

いくらサポート担当者が親切だったとしても、このような手間だらけの製品やサービスには多くの人が不満を抱えるでしょう。

ここで大切にしたいのが、「顧客の努力を減らす」という考え方です。
顧客がそもそも疑問を抱かないようにシンプルに製品を作ることや、疑問を抱えてもすぐに問い合わせできるように導線を整備しておくことが重要です。「全てが簡単であること」というのが、顧客ロイヤルティ向上を実現する上では欠かせないことなのです。

では、顧客の努力を減らすためにはどのような取り組みが考えられるでしょうか? 以下にいくつか例をあげます。

取り組み例

・製品をわかりやすく

複雑でわかりづらい製品を求めている人はいないでしょう。直感的に理解できて、すぐに使える製品であることが大前提です。操作方法などがわかりやすければ、わざわざ問い合わせをしなくて済みます。製品が複雑であるがゆえに顧客に余計な手間をかけている状態では、いくらサポートを頑張ったとしても、根本的な課題解決はいつまで経ってもできません。

・連絡先をわかりやすい場所に

疑問を抱えた際にすぐに問い合わせができるよう、連絡先はサイトのわかりやすい場所に表示しましょう。探す手間をかけさせないというのも重要です。

・前回の問い合わせ内容を再度説明させない

違う企業担当者になったからといって、顧客に前回と同じ説明をさせるのはナンセンスです。電話やメールなど各チャネルでの対応履歴を残すようにし、担当者が変わっても前回の内容を把握してスムーズに対応できる状態を作りましょう。

・1回で解決する

電話でもメールでもそうですが、余計なエスカレーションや待ち時間はなくし、スピーディに課題を解決しましょう。1次対応するスタッフに十分な知識があれば、顧客を待たせるということもなくなるはずです。

・FAQを充実させる

自己解決できるようにFAQを充実させましょう。必要な記事が見つかりやすいように整備するのはもちろん、常に最新情報を保ちましょう。FAQ構築ツールによっては、顧客がどのワードでFAQを検索しているかがわかる場合もあります。顧客の検索ワードに対して必要な記事が表示されているかどうかを定期的に確認しましょう。

おわりに

いかがでしたか。
顧客に感動を与えること以上に、まずは悪い体験をさせない(顧客の期待を下回らない)ことが重要なのです。そして、顧客ロイヤルティを高めるためには、顧客の努力を減らすことがポイントになります。

良い体験を提供することばかりに意識を向けるのではなく、「悪い体験をさせない(期待を下回らない)ために何ができるか」ということについて考えてみてはどうでしょうか?