社員一人ひとりが仕事の意義を理解し、高い満足感を持って働けるかどうかが日々の仕事の生産性向上やカスタマーサクセス実現においては重要です。 本記事では、エンプロイーサクセス(社員の成功)の重要性、カスタマーサクセスにどのような影響を与えるかについて考察します。
エンプロイーサクセスとは?
エンプロイーサクセスとは、“社員の成功”を意味する言葉、取り組みです。 社員が自らの仕事に誇りを持ち、当事者意識を持って働けているか。組織や事業のビジョンを信頼し、上司・同僚などと適切なコミュニケーションを取れているかを振り返ってみましょう。
最近では、カスタマーサクセス(顧客の成功)を目指した取り組みが注目を集めていますが、その前にエンプロイーサクセスを実現することを忘れてしまってはいけません。 顧客に最高の体験を届けたいと思えるほど、社員はその組織から十分な扱いを受けているでしょうか。 組織や自社製品に愛着がなく、自らの仕事にやりがいや楽しみを持てていない社員が、顧客の成功のために力を尽くせるでしょうか。
優れた顧客体験を提供し、熱狂的なファンを生み出し続けているザッポスやリッツカールトンといった企業は、社員に権限を委譲し、社員が誇りを持って働ける環境づくりに積極的に投資しています。社員に対して匿名アンケートを実施し、社内コミュニケーションの在り方や組織からの扱われ方にどう感じているかなど、率直なフィードバックを募るのもいいでしょう。
優れた製品、顧客体験を生み出すのは、その会社で働く“人”です。社員が成功してこそ、顧客も成功させられるのです。
エンプロイーサクセスを実現するために重要なこと
1. 組織全体で社員の成功を重視する文化を持つ
社員のロイヤルティの高さが競争優位性になることを経営層が理解し、社員満足度向上に積極的に投資する必要があります。SaaS の王者とも形容される Salesforce では、エンプロイーサクセス部門を設け、“社員の成功”に向けて組織的に取り組んでいます。
また、社員がすぐに会社に馴染めるように「エンプロイーオンボーディング」を実施することも重要です。入社してからの流れを明確にし、社員が各ステップで抱える課題への解決策を体系化しておきます。 このような取り組みを実施するためにも、組織のリーダーたちが優れた顧客体験を生み出すのは、“社員”であるということに気がつかなければなりません。
2. 自社製品やサービスを社員自らが頻繁に利用する
自社製品やサービスへの誇りを持つためには、社員自らが日常的に自社製品やサービスを体験し、その価値を正しく認識しなくてはなりません。頻繁に利用することで、製品の価値を理解できれば顧客へも誇りを持って勧めることができます。そして、改善点にも気が付きやすくなり、結果としてより良い製品開発、サービス提供に繋がっていきます。
3. 社員の満足度を定期的に評価する
実際に働く社員がやりがいを持って働けているのか、上司・同僚とのコミュニケーションに不満を抱えていないのかなど、定期的に社員の満足度を調査・ヒアリングしましょう。顧客の声を聞くのと同じくらい、社員の声を聞くことも重要です。定期的にアンケートを実施し、スコアが改善されているかどうかをチェックします。
おわりに
今回は、エンプロイーサクセスについて取り上げました。 カスタマーサクセスを実現するためには、まずその会社で働く社員一人ひとりが自らの仕事に高い満足感や誇りを持っている必要があります。カスタマーサクセスに取り組む一方で、エンプロイーサクセスに取り組むことを忘れてしまってはいませんか。
ぜひ本記事をきっかけに、社員と顧客の両方を成功させられるように、現在の取り組みについて振り返ってみてください。