いくら業績を向上させようと思っても、顧客から支持される企業・製品でなければ業績を向上させることはできません。本記事では、顧客からの支持を得るために重要なことについて考察します。
顧客体験を悪化させる要因
顧客体験を悪化させ、顧客からの支持率を下げる要因にはどのようなものがあるでしょうか?
1. 間違ったコストダウン
企業として無駄なコストをなくすことは非常に重要です。しかし、本来削ってはならない「人材育成」や「安全性」にかけるコストも削ってしまい、重大な問題を引き起こしてしまうケースもあります。よくニュースで目にする産地偽装や車のブレーキ不具合なども間違ったコストダウンが要因となって起きてしまっているのかもしれません。 結果として、顧客の信用を失い、企業の存続が危ぶまれる事態に陥ってしまいます。
2. 分業化
業務を細分化し、特定の業務を任せることで専門性や効率性を高めようとする場合があります。しかし、細分化した各要素間の連携が取れなければ、サービス全体としてのまとまりが損なわれ、品質が低下してしまいます。業務を分けることだけに意識を向け、その分けた要素同士を再度まとめ上げることを疎かにしてしまえば、結果として顧客体験が悪化することもあるでしょう。
3. 行き過ぎた成果主義
企業として売上を出すことは当然重要ですが、成果主義を推し進めることによって、顧客視点を欠いてしまうのは問題です。中には、売上を上げるために押し売りをしたり、顧客を欺くケースだってあるかもしれません。企業の業績は、顧客に正しく価値を提供し、支持されることによって向上するということを忘れてしまってはいけません。行き過ぎた成果主義によって、顧客を裏切ることがないように注意が必要でしょう。
顧客からの支持を得るために重要なこととは?
上記の顧客体験を悪化させる要因を踏まえて、顧客からの支持を得るために重要なことを考えてみましょう。
1. 顧客体験の向上に積極的に投資する
皆さんの会社では、顧客満足度向上や顧客体験の改善にどれくらい積極的に取り組んでいるでしょうか? 熱狂的なファンが多いことで有名な Zappos では、顧客体験をより良くするためにサイトの分かりやすいところに電話番号を記載し、積極的に電話問い合わせを受け付けています。これはあくまで数ある取り組みのうちの一つですが、会社のミッションとして顧客満足度の向上に取り組むことで、それが優位性となり、成長の源泉となっていると言えるでしょう。 当然、このような企業では人材育成に費用と時間をかけています。
2. 社内における意識、連携を強化する
カスタマーサポート部門が顧客満足度の向上や顧客体験の改善に積極的なだけでは不十分です。サービスや製品の開発、マーケティングといった企業活動全てが一貫性を持つことで、品質が保たれます。部門間での隔たりがあれば、優先的に取り組む事柄やサービス品質にばらつきが出てしまい、結果として顧客体験が悪化してしまうこともあるでしょう。 最近、メルカリ社では役員が電話対応を体験するという取り組みが行われたようです。このような取り組みを参考に、社内における意識を高め、一定のサービス品質を保てるようにするといいのではないでしょうか。
3. 顧客への貢献が利益となって返ってくることを忘れない
顧客からの支持を得るためには、常に顧客視点を持ち、それに基づいて行動することが重要です。 長野県にある中央タクシー株式会社は、「お客様が先。利益は後。」という経営理念を体現し、地元住民に支持されています。ドアの開閉サービスを実施したり、雨の日には傘をさして玄関まで出迎えるそうです。また、体の不自由な方をサポートできるようにドライバーが介護トレーニングを受けることもあるそうです。このような取り組みによって、中央タクシーは電話予約のお客様が大半を占め、地元住民から強く支持されています。
おわりに
今回は、顧客からの支持を得るために重要なことについて考察しました。顧客体験を悪化させる要因は様々ですが、本記事で取り上げたことが皆さんの会社でも起きていないか、振り返ってみてはいかがでしょうか。
顧客から支持される企業は、どこも顧客満足度の向上や顧客体験の改善を最優先で考え、全社的に取り組んでいます。経営層がその重要性を認識していない場合もありますが、現場でカスタマーサポートを担当するスタッフが主体的に周囲を巻き込み、徐々にCSに対する意識を普及させていくこともできるはずです。
まずはカスタマーサポート関連のイベントに同僚を誘って参加してみるなど、明日から実践できそうなことを考えてみてはいかがでしょうか?