顧客が製品の使い方を理解するまでに時間がかかるようであれば、それは製品のUI/UXやオンボーディングプロセスの失敗といえるのではないでしょうか?本記事では、「CES」という指標をご紹介します。
CESとは?
CESは、Customer Effort Score(顧客努力指標 )の略で、“顧客が顧客自身の課題を解決するためにどれだけの努力を必要としたか ”を測る指標です。 顧客は自身が抱える課題を努力せずに楽に解決したいものです。CESを測ることで、企業が顧客側に課題解決のためにどれだけの努力を強いているかということがわかります。
CESを計測する際は、このような質問を投げかけることが多いです。 「あなたは自身の課題を解決するためにどれだけの努力が必要でしたか?」 「私たち(企業)は、あなたの課題解決を手助けできましたか?」
顧客の労力や負荷を測るために、0~5 の6段階で顧客に回答してもらいます。 回答が “0” であれば簡単に課題解決できたことを表し、反対に回答が “5” であれば課題解決までに手間がかかったことを表します。 また、これらの質問に加えて、「なぜそのスコアをつけましたか?」と聞くことで、どのポイントで顧客に負荷をかけてしまっているかということもわかります。これによって、製品の初期設定方法がわかりづらいという事実が明らかになる場合もあるでしょう。
カスタマーサクセスにおいてCESという指標が重要な理由
カスタマーサクセスチームには、様々な指標(データ)を用いて、顧客の課題解決を支援する役割が求められます。その仕事の中には、提供する製品をより使いやすくすることや製品の活用方法をいち早く理解してもらうよう働きかけることも含まれます。 そして、“顧客が苦労せずに期待する価値を得られているかどうか”という点についても注意深く観察する必要があるでしょう。
そこで、CES という指標が役に立ちます。 国内では、NPS®️という指標が有名になりつつありますが、カスタマーサクセスを考える上では CES も非常に重要な指標と言えます。
CESが低いということは、顧客が苦労せずに製品の価値を得られているということになり、顧客に余計なストレスや不満を与えていないということを意味します。結果として、SaaS企業であればチャーン(解約)を減らすことにも繋がり、収益の向上も期待できるでしょう。 反対に、CESが高いということは、製品を理解し有効活用するまでに障害が多く、期待する価値を得るまでに時間がかかっている = 成功までが遠いという状況を表しています。
“簡単さ”を追求しよう
カスタマーサクセスチームは、顧客が成功するまでの過程を簡単にする必要があります。指標を駆使し、顧客の成功を阻んでいる部分を特定しましょう。 そして、改善策を講じ、実際に効果があったかどうかを指標を通して判断していくのです。
実際に7万5千人以上の消費者を対象にしたある調査によれば、顧客ロイヤルティに最も影響を与える要素は、「顧客の努力を減らすこと」であるという結果が明らかになっています。
おわりに
今回は、カスタマーサクセスに欠かせない指標 Customer Effort Score (カスタマーエフォートスコア)についてご紹介しました。 CESという指標の存在を知り、自社においてどのように活用できるか考えてみるのも良いでしょう。指標を有効活用し、顧客の成功を支援していきましょう。
顧客に負担をかけることなく、顧客が自身の課題を簡単に解決できるよう製品のUIやオンボーディングプロセスを改善してみてはどうでしょうか?