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カスタマーサクセスソフトウェア 「Gainsight 」

カスタマーサクセス という言葉が日本でも一般的になりつつありますが、本場アメリカではカスタマーサクセス専用のソフトウェアが多く使われています。本記事では、カスタマーサクセスソフトウェアとして No.1 の評価を得ている Gainsight の特徴や概要についてご紹介します。

カスタマーサクセスのおさらい

まず簡単にカスタマーサクセスの概要を記します。カスタマーサクセスという考え方が登場してきた背景には、「サブスクリプション(定期購読型)ビジネス」が台頭してきたことがあります。今では、多くの有名サービスが月額/年額課金制のビジネスモデルを採用し、利用者側も毎月支払いをするサービス利用形態が一般的になりつつあります。

ここで、従来の売り切り型ビジネスとは大きな違いが生まれます。売り切り型では、顧客に商品を売れば利益となったため、いかに顧客を獲得するか(マーケティング)に注目されていました。しかし、サブスクリプションビジネスでは、むしろ顧客がサービスを使い始めた時点で顧客との関係が"始まり"ます。そこではいかに顧客に継続してサービスを使い続けてもううかが課題となり、顧客により良い形でサービスを使い続けてもらうための分析やサービス改善が必要となってきています。

一般的なカスタマーサポートは、一人一人の顧客の問い合わせに対して課題解決することが求められています。つまりカスタマーサポートは問い合わせが来たら対応する受動的な顧客との接し方です。それに対しカスタマーサクセスは、顧客行動を分析することによって、サービスや顧客を予測することが求められます。顧客分析によって、最終的には主体的な行動が求められてくることになります。分析による行動は顧客獲得、サポート、サービス改善などあらゆる面において有効なため、カスタマーサクセスを主体として事業運営を取り組む組織がアメリカで増えていることも納得できます。

さて、カスタマーサクセスにおいて必要なことの1つとして指標管理がありますが、その課題を解決してくれるサービスとしてカスタマーサクセスソフトウェアが存在します。

Gainsight の概要

Gainsight は 2011年に創業され、既に300名以上(執筆時点)の社員を抱えるカスタマーサクセスソフトウェア企業です。世界中に顧客を抱える大手IT企業を顧客として抱えています。Gainsight のページを見ると、以下のようなサービス特徴を理解することができます。

"Gainsight のパワフルなカスタマーサクセスによって、既存顧客を最高の支援者に。"

  • 収益の向上 ~ 健康的な顧客を醸成することで将来の解約(Churn)を予測し、防ぐ。
  • 顧客の維持 ~ 全ての Upsell と Cross-Sell 機会を見つける
  • 作業のスケール化 ~ より小さなチームでより多くの顧客に効果的にリーチする

ではより具体的な機能として Gainsight の提供する機能を見てみましょう。

Customer 360

1人の顧客には、顧客情報や決済履歴、アンケートの回答、自社データベースでの行動など、あらゆるデータが存在します。それら情報を Gainsight に集め、360度の視野から顧客を分析/観察することができる機能が Customer 360 です。カスタマーサクセスの用語として "ヘルススコア" というものがよく使われます。これは、顧客1人1人に対して0~100の数値をつけ、0に近いほど解約に近く100に近いほど継続して使ってもらえる確率が高いことを意味します。Gainsight ではこのヘルススコアを管理する機能を提供しており、Gainsight 側でヘルススコアを監視することができるようになっています。

そこで例えばヘルススコアが急上昇した顧客は、アップセル(プランのアップグレード)やクロスセル(別製品の購入)などを狙うことができ、戦略的にメールを送ったりすることも可能になるでしょう。

Gainsight ではあらゆる顧客情報を分析するために、多くのサービスとの連携を提供しております。そのメインとなるのは Salesforce です。筆者が調べた限りでは、Gainsight は Salesforce ユーザーにとって最適なツールであると感じました。もちろんそれ以外にも Mixpanel, Google Analytics, Zendesk, Marketo といった有名サービスとの連携をはじめ、API で自社サーバーから呼び出すような方式も提供しています。カスタマーサクセスにおいてはいかにデータを集めるかが重要になってきますので、まずは自社で使っているサービスとの連携がうまくいくかがカスタマーサクセスソフトウェアを選ぶ上で重要になることでしょう。

Cockpit

Cockpit は各顧客を優先順位づけして顧客リスクやチャンスを管理することのできる機能です。Customer 360 で算出したヘルススコアなどの指標をベースに、特定のルールを Gainsight でセットして何かしらの条件を満たした顧客が出てくれば通知を送ってくれます。

これにより、例えば退会しそうな顧客の通知が来た際にはフォローの電話を入れたりするといった対応が可能となります。いかに退会(チャーン)を減らすかが重要なサブスクリプションビジネスにおいては重要な機能となることでしょう。

CoPilot

CoPilot はあらゆるデータソースを結合してデータを収集することのできる機能です。カスタマーサクセスは"分析"ベースだと冒頭で記しましたが、まさにその分析機能を提供しているのが CoPilot と言えるでしょう。顧客のトレンドを監視し、顧客エンゲージメントに影響を与える弱点を発見するなどの用途で利用できます。そして最終的にどの顧客に対しての行動が最も効果的だったのかを測定し、サービス改善に生かすことのできる機能です。

終わりに

概要ではありますが、 Gainsight の機能や目指すところについて簡単にご紹介しました。日本国内ではそもそもサブスクリプションビジネスが最近になって出てきたということもあり、まだまだ普及していませんが、今後カスタマーサクセスソフトウェアの利用が一般的になってくることでしょう。

既にサブスクリプション型ビジネスを運営されている企業にとっては、Gainsight のようなサービスを利用するか、自社で構築するかの判断が強いられるかと思います。この機会にぜひ海外のカスタマーサクセスソフトウェアについても調べてみてはいかがでしょうか。

参考:インサイドセールス ・カスタマーサクセス・カスタマーサポートの違いとは?必要なスキルも解説 - CallCenter Times(コールセンタータイムズ)