2016/07/21(木) に MoneyForward オフィスにて、第3回 MoneyForward Meetup が開催されました。本イベントでは、CS×エンジニアをテーマに、マネーフォワードでの事例が紹介されました。Vol.1、Vol.2と2回に分けて、参加レポートをUPします!
創業当初は一人で年間 1万5千通の返答メールを送っていた
初めに、"僕はまだ本当のCSを知らない"というテーマでオープニングトークが始まりました。
マネーフォワードでは、創業当初からカスタマーサポートに対して熱い思いを持っていらっしゃったそうです。Customer Development
、つまり顧客理解から始まり仮説検証をしてサービスに適用する、そのループをいかに早く回していくかに注力されたとのこと。
今では当たり前になりつつある Fintech サービスですが、リリース当時は「みんな家計簿はつけているけど、自動化できたらいい」という一つの仮説はあったものの、それで利用料を取るモデルにしてまで顧客は付いてくるのか誰にもわからない状態でした。そんな中で答えを探るべく、たくさんの検証とサービス改善を行ってきた結果として、現在の マネーフォワードがあり、その文化が今も根付いているようでした。
お客様が継続利用して、しかも有償利用してもらうためには、ユーザーを徹底的に理解していく努力が必要です。創業当初はリーンスタートアップ的な考え方の実践のために、創業メンバーだけでカスタマーサポートをこなしていたとのことです。サービスの特性上、確定申告の時期に問い合わせが殺到したり、その時期にひたすらメールやチャットを打つためにタイピングして腕がつったりと、スタートアップらしいエピソードを紹介してくれました。
さらに事業が成長するにつれ、創業当初のごり押しなサポート体制にも限界が来てしまいます。そうなると餅は餅屋ということで、適切な人員に仕事を任せることが必要になってきます。しかし、それでもなお Customer Development
の考えは捨てずに大切にし続けているとのことでした。
最後に"カスタマーサポートは SQL が 叩けて一人前" とおっしゃっていたことが印象的でした。 SQL の重要性は本メディアでも以前に記事としてご紹介したこともあります。最適なデータをエンジニアに頼ることなく自ら取得し、顧客の状態をいち早く理解する姿勢を見習いたいところです。
CS の本質的な価値
続いて "CSの「0」地点と本質的な価値について"というテーマでお話しいただきました。
本セッションでは、実際に現状では、どのように CS を行っているのかを具体的に教えていただきました。発表の中で、"カスタマーサポートの方法は企業の考え方やプロダクトそのものによって大きく変わるものであり、方法そのものに共通の正解のようなものはない" という点が印象的でした。サービスが toB なのか toC なのか。専門的な知識が必要なのか。ユーザー間のトラブル対応が必要なのか。自らが運営するサービスや顧客層に応じてサポートの方法を替えていかなければなりません。
その中で CS は、「顧客対応特化型」と「プロダクト推進型」の2つのパターンに分かれるとの見方をされています。
前者は一人一人に時間をかけて、真摯に電話やメール対応をすることで顧客満足度を上げていく方法。後者は顧客の声を聞きながらプロダクトそのものの改善に力を注ぎ、そもそもの問い合わせをなくしていくことを目指し、結果的に顧客満足度を上げていく方法です。このうちマネーフォワードでは、後者の「プロダクト推進型」を重視してCS の立場を明確にされているとのことでした。そのことを証明するかのように、 CS がエンジニアと協業し、開発時にも CS がプロダクトに対してたくさんの厳しいフィードバックを与えているとのことでした。また、CS 側に最低1人エンジニアを配置することで、問い合わせに対してすぐに返答できるような対応をされているそうです。まさに本セッションのテーマである「CS X エンジニア」なサービス運営だといえます。
その行動の根底には、以下の6つの考え方があるそうです。
- ユーザーに対する感謝を忘れない
- 一次対応での解決率を高くする
- 対応クレームを出さない
- プレイヤーが高スキルである
- それぞれがコスト意識を持つ
- ソリューション提案型の対応をする
これが マネーフォワード社の「0」地点とのことでした。
続いて CS の本質的な価値について。CS の本質的な価値は、ずばり「問い合わせをなくすことがゴール」だという話がありました。先ほどのプロダクト推進型のサポート体制の中で CS がただ単に顧客対応をするだけでは、そもそもの問い合わせを減らすことは不可能です。そのために常に良いドキュメント資料を配備するのはもちろんのこと、そもそものサービスで顧客が困惑するような機能や表示をなくしていくために CS がエンジニアと協力してサービスそのものを改善していくことを行っているとのことでした。
次回予告
参加レポートVol.2では、より具体的な CS 現場と、会場から挙がった様々な Q&A をレポートします。