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インバウンドのコールセンターで追うべき KPI を徹底解説

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インバウンドのコールセンターでは、顧客からかかってくる電話に対して迅速に、かつ適切な対応を行う必要があります。また、時間帯や季節による変更に対してもフレキシブルな対応を行い、顧客の要望に応えることが求められます。

健全な運営を行うために何かしらの KPI を設定しますが、その数は多く、どれを気にすればよいかわからない方も多いでしょう。ひとくちにコールセンターといっても、その目的により追うべき KPI は異なります。本記事ではどのような KPI に着目すべきか、例も含めて解説していきます。

主な KPI の指標と解説

インバウンドのコールセンターでは、さまざまな KPI の指標が活用されています。これらは、大きく以下の3種類に分けられます。

  • 応答品質
  • 業務効率
  • 顧客満足度

それぞれの種類について、どのようなKPIがあるか確認していきましょう。

応答品質

応答品質は、電話のつながりやすさを示す指標です。代表的な KPI には、以下の項目があげられます。

項目 内容 備考
応答率 着信件数に対して、オペレーターが対応した割合を指す 90%以上に設定するケースが多い。最低でも80%以上は必要
放棄呼率 着信に対応できなかった割合で、(100%-応答率)で求められる 10%以下に設定するケースが多い
SL サービスレベルのこと。着信後、所定時間内に応答できた割合を示す 所定時間は20秒、目標値は80%以上に設定する場合が多い
ASA 着信後、オペレーターが対応するまでの平均時間(秒)を示す 20秒以内に設定する場合が多い

SL と ASA は同じように見えますが、異なる指標です。たとえば「20秒以内の着信率を80%以上、かつ ASA は20秒以内」と設定する企業を考えてみましょう。以下に示す20件の履歴があった場合、16件は20秒以内で応答していますからSLは満たします。しかし ASA は21.2秒となり、20秒を超えるため満たしません。

 11秒   14秒   17秒   19秒 
 11秒   14秒   17秒   30秒 
 12秒   15秒   18秒   40秒 
 13秒   16秒   19秒   50秒 
 13秒   16秒   19秒   60秒 

業務効率

業務効率を示す指標には、以下の項目があります。

項目 内容 備考
稼働率 オペレーターの勤務時間のうち、コールセンター業務に費やす割合 70~80%を基準とするケースが多い
AHT 平均処理時間。電話を受けてから処理完了までの時間。ATT と ACW の合計で示される。 数値が少ないほど、スピーディーに処理できていることを示す
ATT 平均通話時間。顧客と通話した平均の時間
ACW 平均後処理時間。電話対応後、入力やメール送信にかかった時間を示す
CPC 1コール当たりのコスト。処理件数を人件費や家賃などの運営費用で割った数値

顧客満足度

顧客満足度を示す指標には、以下の項目があります。

項目 内容 備考
CS 顧客満足度。商品やサービスに対してどれだけ満足しているかを示す アンケート調査を行い収集する場合が多い
NPS ネットプロモータースコア。企業やブランドに対する愛着や信頼度を、0~10までの間で示す 9以上を付けた人数の割合から、6以下を付けた人数の割合を引いて求める

重視すべき KPI は、コールセンターにより異なる

KPI は、どのコールセンターでも同じように扱われるとは限りません。確かに SL や ASA は短いことが好ましいですが、他の KPI は目的によって重要度も異なります。この点について3つに分け、解説していきます。

業務の目的により、重視すべきKPIは異なる

重視すべき KPI は、業務の目的により異なります。たとえば、とにかく数をこなすことが重要な場合は、 AHT の短さや、 CPC の低さが重視されることでしょう。

一方でヘルプデスクの役割を担う場合は、顧客が抱える課題の解決がポイントとなります。したがってCSやNPSの高さが重視されますから、丁寧なヒアリングが不可欠です。もしATTが短いと、顧客から「こちらの話をろくに聞いてくれない」などの苦情が出るかもしれません。

「応答率90%、稼働率70~80%」は、1つの目安に過ぎない

コールセンター業界では、品質の指標として「応答率90%、稼働率70~80%」がよくいわれます。しかしこれは、1つの目安に過ぎません。

そもそも応答率90%という結果は、平均して10%もの着信に対応できなかったことを意味します。その業務が消防ならあちこちで火災が広がってしまい、救急なら命を救えないかもしれません。目標の数値は、業務の特性に合わせた設定が必要です。

1日単位でなく、時間単位でチェックすることも重要

応答率などの場合は1日単位でなく時間単位でチェックすることも、KPIを追う上では重要です。1つの例として、ある日における時間ごとの応答率を確認してみましょう。

着信数 対応数 応答率
9時台 63 50 79.3%
10時台 48 44 91.6%
11時台 32 32 100%
12時台 71 53 74.6%
13時台 39 38 97.4%
14時台 25 25 100%
15時台 31 31 100%
16時台 35 34 97.1%
17時台 46 44 95.6%
合計 390 351 90.0%

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応答率の目標を90%で設定した場合、1日の合計で見ると目標に達しています。しかし時間帯別に見ると、9時台と12時台の応答率は8割を切っていますから、顧客からは「つながりにくい」という苦情が寄せられていることでしょう。

このようにKPIを時間帯別でみると、課題の解決策が見えてくる場合があります。このため、時間単位でチェックすることは重要です。

業務別に重要な KPI を考える

ここから先は業務別に重要な KPI について、大きく3つに分けて解説していきます。

チケットやセミナーなどの予約や、テレフォンショッピングの受付

これらの業務は、作業が定型化できることが特徴です。このため丁寧かつ正確な対応を第一としつつ、スピードも要求されます。一方で申し込み開始時刻など極端に電話が集中する場合がありますから、フレキシブルな人員調整も必要です。

したがって、KPI は以下の項目が重要となります。

  • AHT(ATT、ACW)の短さ
  • CPCの低さ
  • 時間帯別、曜日別の応答率

クレジットカードの盗難受付や、消防・救急の電話対応

これらの電話は、緊急かつ重要な用件です。電話をかけてくる方は至急の対応を求めていますから、「つながらない」という事態があってはなりません。そのためいつでも迅速に、かつ確実につながる状態を維持する必要があります。

このようなケースでは、以下の KPI が重要となります。

  • 応答率の高さ(97%以上に設定される場合が多い)
  • SL や ASA が短いこと
  • 稼働率が高すぎないこと(100%に近い場合は、対応できなかった着信があることを示す)

業務用ソフトウェアのサポートセンター

業務用ソフトウェアのサポートセンターには、特徴的なポイントがあります。

  • 質問内容が多種多様である
  • 顧客はスピードよりも、不明点やトラブルの確実な解決を求めている
  • 対応に時間を要する場合も少なくない。ときには苦情を寄せられる場合もある

このため定型的な対応が主体の場合とは、以下のとおり着目すべきKPIが異なります。

  • AHT(特に ATT)が、過去の実績や他のオペレーターと比べて短すぎないこと
  • CSやNPSが高いこと

業務や目的にフィットした KPI を追うことが重要

これまで解説したとおり、KPIは業務を評価し課題を見つけ、より良い業務運営を行うために用いられる指標です。そのため追うべき KPI は、業務内容や目的を踏まえて選びましょう。また各KPIの数値は、業務の目的達成に寄与できる値の設定が重要です。

参考: ウィルオブ・ワーク:コールセンターのKPIをわかりやすく解説!!(インバウンド/初級編) | CC PLUS
日本テレネット:【2020年版】コールセンター委託時に知っておきたいKPI
リックテレコム:コールセンタージャパン・ドットコムは、CRM/コールセンター構築・運営のための専門サイトです | KPIで現状把握しよう
BIZTEL:ゼロから学ぶコールセンターのKPI「つながりやすさ」を考える | 良質な顧客コミュニケーションと自由なワークスタイルを実現するための情報サイト | BIZTELブログ
Zendesk:コールセンターの運営に重要なKPI(指標)とは? | Zendeskブログ
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