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カスタマーサクセス文化を醸成しよう

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近年、カスタマーサクセスの部署が各社で立ち上がっています。しかし、カスタマーサクセスはその部署だけでなく、会社全体で意識しなければならない"文化"です。本記事ではカスタマーサクセス文化について記します。

カスタマーサクセスの基盤

カスタマーサクセスでは、顧客と今以上に深い関係になることが求められます。その中で、顧客からの行動を待つのではなく、こちらからプロアクティブに行動する必要があります。プロアクティブに行動するために、カスタマーサクセスでは常にリーダーシップが求められます。そのリーダーシップはプロダクトのビジョンによって生まれます。つまり、プロダクトが最終的にどうなりたいかという明確なビジョンがない限り、プロアクティブに行動するカスタマーサクセスは不可能であると言えます。

サービスにおいて、本当の価値はプロダクトではありません。ストーリー です。そのプロダクトがどんな思いで作られ、どのような経緯を辿ってきたのか。それを顧客に伝えて最適な利用方法を実現いただくことで、他社が真似できないサービスができあがります。

カスタマーサクセスをするのに、顧客に問題が起きるのを待つのでは遅すぎます。自ら顧客の問題を見つけ出して積極的に行動しましょう。

カスタマーサクセスとカスタマーサービスの違い

カスタマーサクセス カスタマーサービス
オープンな質問 個別の質問
目的ベース 決まり(ルール)ベース
プロアクティブ リアクティブ
楽しい 難しい
創造性 規範

続いてカスタマーサクセスの具体的な行動について解説します。

カスタマーサクセス・アクション

1. 顧客ごとに最適な価値と体験を見つける

カスタマーサクセスにおいて、顧客が質問するのを待つのではなく、自ら積極的に質問することが求められます。まず初めに「なぜ私たちのサービスを買ったのか。他の競合ではなく、なぜ私たちのサービスを選んだのか?」を明らかにしましょう。そして、回答いただいた企業のミッション・ビジョン・バリューを知り、企業の持つ技術や従業員について深く理解しましょう。

顧客への価値提供に関してホテルを例に挙げて解説します。
カスタマーサービスでは、顧客の要望通りにキングサイズベッドの禁煙ルームに案内し、美味しいご飯を提供すれば及第点となるでしょう。
しかし、カスタマーサクセスでは、さらに質問をします。「あなたにとって、今までの最高の休暇はなんでしたか?食事、エンタメ、設備、どんなものが記憶に深く残っていますか?あなたはホテルで休暇を感じたいのか、普段の生活体験をしたいのかどちらですか?」
もちろん、これらを直接的に質問することは難しいですが、それを知るために努力し、顧客ごとに適切な価値を提供することがカスタマーサクセスでは求められます。

2. 顧客の本当のニーズを予測する

カスタマーサービスでは、電話を受けたらそれに対応することになります。もちろんそれは大切なことではありますが、事前に顧客がどんな電話をするか予測できれば、さらなる顧客満足度を提供できます。それこそがカスタマーサクセスです。

そこで、カスタマーサクセスでは一度顧客と面談や電話で話をする中で、顧客の真のニーズを探り出すことが求められます。以降、顧客が連絡をする前から状況を詳しく把握している状態になることで、あなたの入念な準備に対して感動を提供できるようになります。

3. 顧客の症状を理解し、根本原因を解決する

カスタマーサービスでは、顧客から寄せられた質問に答え、他の顧客からも同じ質問がくれば同じように答えることになります。 カスタマーサクセスでは、この「反応モード」になることを極力避けます。質問に答えたら、すぐに顧客のより深い問題に対して解決を試みます。

4. 慣習的なものを超えた行動

顧客にさらなるベネフィットを提供するために、通常の業務を超えた行動をカスタマーサクセス担当者に許可しましょう。 成功した顧客に対してプレゼントを贈ることを許可するのです。これを出費と捉えて避けるようになると、顧客を失います。

こうした特別なアクションにお金をかけるべきか否か。カスタマーサクセス担当者はそこまで判断できる人が担当すべきです。

5. 顧客をリードする

顧客から要望を言われて、行動し始めるのでは遅すぎます。顧客の根底にある要望を理解するためにも、定期的に質問し、課題を見つけていきましょう。

そして、顧客をトレーニングすることも重要です。最近ではウェビナーなどで顧客教育をするサービスが増えてきています。顧客が積極的に見たいと思えるコンテンツを増やすことで、多くの顧客を導くことができるようになります。

6. 素早く反応する

顧客と今よりもっと簡単にコンタクトを取れるようにしましょう。メールやチャットで顧客に回答を待ってもらう、自動ボイスで反応するといった対応は、私たちにとってはいいかもしれませんが、顧客にとっては悪い顧客体験となってしまいます。

カスタマーサクセスチームに、より積極的にアプローチできる Go Ahead! な権限を与えましょう。

7. 謙虚・勤勉であり続けよう

カスタマーサクセスは、謙虚であり続けなければなりません。顧客の課題を把握し、その根本を解決するまで諦めない姿勢が求められます。カスタマーサービスは、単に問い合わせに対応すればオッケーと考えがちです。それは、現状でソリューションを提供できているという前提に立っているためです。 しかし、カスタマーサクセスは決してそうであってはなりません。常に謙虚でプロアクティブな精神を忘れずにいましょう。

8. 正しい顧客を保持しよう

サービスに完全にマッチする顧客から、ほんの一部の要望だけマッチする顧客まで、顧客の種類は多種多様です。その中で、サービスを良いとは思ってくれていても、お金をちゃんと支払ってくれないユーザーは、顧客にすべきではありません。それは無駄な時間を生み出すだけです。正しい顧客はサービスの価値をしっかりと理解し、それに対して相応の値段を支払ってくれます。もしそれができていなければ、顧客の目的をしっかりと理解することから始めましょう。

正しい顧客を判断するためにも、顧客をランク付けすることを推奨します。A~Cでランク付けした際、顧客ランクAに特に集中しましょう。そして、そのランクAの顧客に対して、より誠実になり、信頼関係を深めていきましょう。

カスタマーサクセス・ウェイ

カスタマーサクセスの行動指針についてご紹介します。

使い続けるための説得力のある理由を提供する

なぜサービスを使い続けるべきかという問いに自信を持って答えられる状態が求められます。それは新機能の開発や宣伝よりも大切なことです。また、見込み顧客に対しては導入することで何が変わり、どんなリスクがあるのかを正直に伝えましょう。それがゆくゆくはランクAの顧客を生み出す源になります。

カスタマーサクセスでは、サービスの価値は顧客によって変わるため、柔軟性のある対応が求められます。長く良い関係を築く上で、その柔軟性は必要不可欠です。それぞれの顧客とコラボレーションを持つ意識を忘れずにいましょう。

カスタマーサクセス担当者にはルールを課すのではなく、教育しよう

担当者にルールを課すと、顧客の状況に応じてではなく、こちらが決めたルールに基づいた行動になってしまいます。カスタマーサクセスで必要なのは、共通の感覚・マインドの教育です。Go Ahead! の精神を持ちましょう。

電話スキルを向上しよう

カスタマーサクセスに必要な「聞く」アクションをするには、電話か対面が最適です。遠隔地でも対応できるようにすべく、電話のスキル向上を目指しましょう。

電話では、個人として答えることを意識します。機械のように決まったフレーズで話してはなりません。そして、顧客のレベルに合わせて会話することも重要です。また、笑顔で話し、「ありがとう」を正しいタイミングで発しましょう。こうした会話の中で、顧客の本当の要望や実現したいことがわかってきます。

終わりに

競合他社がプロダクトの機能をコピーすることはできたとしても、カスタマーサクセスの文化をコピーすることは困難です。それは、顧客と築かれた信頼関係そのものだからです。

ぜひ本記事がカスタマーサクセス担当者だけでなく、カスタマーサクセス文化の醸成を目指す全ての企業にとって参考になることを願っています。

本記事の執筆にあたり、以下の書籍を参考にしました。より詳細が気になる方は是非読んでみてください。

Go Ahead!: Unleash a Contagious Customer Success Culture

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