最近は Wantedly などの求人サービスで、"カスタマーサポートを立ち上げるので、担当者を募集!" と掲載している企業が多く見受けられます。この落とし穴は何か、解説します。
既存顧客の数少ない接点を自分のサービスを知らない人にやらせる危険性
顧客が企業に連絡したい時、まずはメールか電話をするかと思います。特にカスタマーサポートを立ち上げる際には電話窓口をしっかりと設けている場合が多いです。そしてカスタマーサポートを始めて、専任担当を置いて仕事を任せるとします。当然、新しく入ったカスタマーサポート担当は製品のことを簡単に説明を受けただけで、実際はほとんどわからない状態で電話を受けることになります。
このような状態では誰でも「電話に出るのが怖い」や「電話が不安」といった思いを抱くでしょう。実際かかってきた時にその気持ちはかけてきたお客様にも簡単に伝わります。電話は声の質ですぐにわかってしまうのです。実際に自信のない声で対応され、しかも通話の保留が頻繁に行われ、問題の解決に時間がかかってしまいます。お客様は決して満足することはないでしょう。ましてや"ありがとう"となどお客様から言われる機会は激減します。
カスタマーサポートの最大の成果はお客様からの「ありがとう」です。その“ありがとう”がほとんど言われないカスタマーサポートをやって、いったい誰がカスタマーサポートを誇りを持って仕事に取り組めるのでしょうか。自信がなくなっていく繰り返しが当然のごとく顧客の満足度の低下につながってゆくのです。
大事なカスタマーサポート担当を新しく募集して"丸投げ"することは絶対にしてはなりません。どうしてもカスタマーサポートを募集するのであれば、 サポートのノウハウやよくある質問が全て把握できるようになり、運用として落ち着いてきたタイミングで始めるべきです。
理想的なカスタマーサポート立ち上げ
それではどのようにカスタマーサポートを立ち上げていくのが最も良いのでしょうか。一言で書くと、成長に見合った段階で、最も製品を知る人が担当となるべきです。
まずは、電話対応を あなた が始めるのです。一番サービスや商品に詳しいあなたなら、どんな質問でも自信を持って答えられるはずです。「〜だと思います」や「〜のようです」といったNGワードを発言することはないでしょう。そして直接顧客の声を聞き、製品に反映するには最も効率的な方法です。
だんだんオペレーションが固まってきたら、よくある質問集を設け、解答例などを作成していきましょう。それでようやく他の人に任せられる土台が出来上がります。だからと言ってすぐにカスタマーサポートはサービスや製品のことを全く知らない人に任せてはなりません。まずは社内で他に詳しい方がいればその方に兼務という形で協力してもらうのが良いでしょう。
基本的にカスタマーサポートを募集するのは好ましくありません。社内で製品を愛している方が担当するようにすべきです。どうしても今日のビジネスの場面では、マーケティングなどが輝かしい舞台のように見られがちですが、顧客と製品を愛するカスタマーサポートこそが花形の部署であるようになっていくべきだと考えています。
カスタマーサポートを担当するということはその製品について誰よりも詳しく、そして愛している方が最適です。そのようなサービス、製品に対する愛情は新人が持てるものではないのです。
顧客のロイヤリティ向上が命題となっているビジネスにおいては、ぜひカスタマーサポートの考え方を変え、最適な人材を配置できるようにしていきましょう。