SNSや口コミ、インターネットが普及した今日では、企業やサービスの不祥事や悪い噂は一瞬で広まる時代です。 企業にとって、顧客がどの程度満足しているかを測ることはますます重要になってきています。
熱狂的なファンはサービスを繰り返し使い、twitterなどでサービスについての良さをシェアしてくれますが、そうではないファンは競合の新しいサービスがローンチされると簡単に乗り換える可能性があります。経営の安定のためには、長期的に利用し、他のユーザーを呼び込んでくれる熱狂的なファンの割合を増やしていくことが重要です。
顧客ロイヤリティは重要ではあるものの、定量的にデータを出すことは、設問を共通化しない限り、現実的には難しいことが多いのではないでしょうか。 そこでNPS®*1が誕生しました。
ネットプロモータースコア(NPS®)とは?
欧米企業を中心に顧客のロイヤリティを測る仕組みがあります。NPS®と呼ばれているものです。 顧客に対して「あなたは○○の製品(サービス)を友人に薦めますか?」と聞き、0〜10の11段階で答えてもらい、下記の3つのグループに分けます。
10~9:推奨(プロモーター)
8~7:中立者
6~0:批判的な立場
10〜9こそが熱狂的なファンであり、再購入率が高く、他の人に紹介してくれる80%はこの“プロモーター”に属します。
数値としては下記のような計算方法になります。
推奨者の割合 - 批判者の割合 = 推奨者の正味スコア
NPS®の高さと利益の伸び率には高い相関関係があるということは過去の実績からも示されています。 NPS®が12ポイント増加すると、企業の成長率が倍増すると言われています。 実際にAppleやスターバックスといった、顧客との関係を重要視する企業がNPS®リーダーに名を連ねています。
単位面積あたりの売上が小売業では最大であるのAppleストアを成長させたロン・ジョンソンのコメント
“NPS®はアップルに自然になじみました。NPS®はアップルストアのDNAの一部になっています。”
といったように欧米ではNPS®は有名企業が顧客ロイヤリティを測る重要な指標となっているのです。
NPS®のメリット
NPS®のメリットは何よりシンプルで早いことです。 一つの質問をするだけなので、簡単に集められます。自社のスコアを把握すれば、同業界の競合他社と比較したり、時系列でのパフォーマンスを確認することができるようになります。 また、イベントなどの度に顧客に合わせた質問を用意する必要もなく、会社の営業からマーケティング、人事までスコアを社内で顧客ロイヤリティの重要な指標として共有することができます。
NPS®のデメリット
普通を良しとする日本人の性格を考えると5~7のな数値が多いことが推測され、NPS®が低くなりがちだと言われています。
いくつかの疑問点はあるものの、NPS®が高ければ製品やサービスが良いことは間違いありません。日本では大きく導入されていないものの、利用価値は十分にあるのではないでしょうか。
*1:NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの 登録商標です。