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テンプレートを使った顧客対応は思考停止を生む。

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メールの場合は特に問い合わせ件数が増えるにつれ、効率的に対応しようと、“テンプレート”を活用する企業が多いかと思います。 本記事では、メールというチャネルにおける“テンプレート”を活用した顧客対応についての考察を書きました。

顧客対応にテンプレートを使うメリット

問い合わせ件数が増えるにつれ、それらを効率良く捌くために“テンプレート”を用意し、活用する企業も多いことでしょう。 メールの場合、受注したとき用のテンプレート、メルマガ配信の停止を希望されたとき用のテンプレートなど、一つ一つ手書きで返信などしていられないとテンプレートを活用します。これによって、スピーディに顧客へ返答することが可能になります。

このようにテンプレートを使って顧客対応をすることのメリットとしては、返信までのスピードを早められることや仮に新人だったとしても一定のレベルで返答できるといった点でしょう。また、作り込まれたテンプレートを活用することによって、誤解を招くような返答内容になりづらいとも考えられます。

一見すると、“テンプレート”を使った顧客対応は良い点ばかりのようです。 しかし、本当にそうなのでしょうか?

テンプレートに頼りすぎると思考停止を生む

一見すると、“テンプレート”を使った顧客対応は良い点ばかりのようですが、テンプレートに頼りすぎた顧客対応はサポートスタッフの思考停止を生み、逆に顧客の怒りを買ってしまう恐れもあります。

例えば、こういった場合はどうでしょうか。

ある日、お客様から、「メルマガ配信を停止して欲しい」とのメール連絡が入りました。 そんな時、サポートスタッフは何をするでしょうか?

恐らく、“テンプレート”を活用したメール対応が習慣になっていれば、真っ先に行うのは、メルマガ配信停止希望が来た時のテンプレートを探すことなのではないでしょうか。 仮に、何パターンかテンプレートがあるようなら、問い合わせが来たタイミングからテンプレート探しが始まることでしょう。

この時、サポートスタッフの頭に、「お客様がなぜこのような問い合わせをしてきたのか」といったお客様のことを考える隙はあまりないように思います。 本来あるべき顧客対応の姿は、お客様が「メルマガ配信を停止して欲しい」と連絡を入れてきた背景を考え、探る姿だと私は考えています。 でなければ、本当に顧客が望むサポートはできないと思うからです。

「メルマガの配信停止」という1つのアクションにしても、お客様がなぜこういった連絡をしてきたのかという動機に応じて、サポートスタッフが取るべき行動は異なります。

例えば、

メルマガの内容が自分には合っていないと思うから配信停止を希望している場合、スタッフが取るべき対応は、“配信設定を変更して引き続きご利用いただくための提案と配信停止方法の説明”となるでしょう。

また、登録したつもりがないのにメルマガが届いているから配信停止を希望している場合、スタッフが取るべき対応は、“現在の登録状況を説明して配信停止を提案”となるでしょう。

そして、なんで勝手に送ってきてるんだと不快に感じて配信停止を希望している場合、スタッフが取るべき対応は、“不快な思いをさせてしまったことを謝って配信停止”となるでしょう。

このように、「メルマガの配信停止」という1つのアクションにしても、お客様ごとの動機によってサポートスタッフが取るべき対応は異なるわけです。

お客様の姿をイメージをしよう

テンプレートに依存した顧客対応に慣れてしまうと、お客様の姿をイメージして対応する力やどうやったら満足してもらえるかということを考える力が衰えていく恐れがあります。まさに、思考停止です。

本来サポートスタッフがやらなくてはいけないのは、お客様の姿をイメージし、お客様が望む対応を望むタイミングで提供し課題解決に導くことのはずなのに、いつしかそれがテンプレートを探すことになってしまうわけです。そこに、お客様が本当に求めることをイメージする隙はありません。 このような思考停止に陥り、お客様の心情を察知しない、置かれている状況を察知しない顧客対応は、お客様の不満を生み、怒りを買うことにつながります。これでは何のためのカスタマーサポートかわかりません。

しかし、“テンプレート”を活用すること自体が間違いだというわけではありません。 あくまで、テンプレートに依存しすぎた顧客対応を行うことには弊害があるということです。 テンプレートなどを使った仕組み化を行うのであれば、サポートスタッフには前提としてお客様のことをイメージする力やサポートする喜びを感じる力が備わっている必要があります。 こうした力が備わっていれば、仮にテンプレートを活用することがあったとしても、状況に応じて融通を利かせ、最適なサポートを行うことも不可能ではないでしょう。

終わりに

テンプレートは顧客対応の効率化を図るにはもってこいですが、一方で顧客の気持ちを置き去りにした顧客対応を生むきっかけにもなりかねません。そのため、テンプレートを活用することによるメリットや弊害を理解した上で、うまく活用していく必要があると言えます。そして、サポートスタッフに求められるのは顧客が今回の問い合わせしてくるまでのストーリーをイメージしたり、知ろうとする姿勢なのではないでしょうか。

さて、今回は“テンプレート”を活用した顧客対応についての考察を書きました。 ぜひみなさんもこの機会に、“テンプレート”を活用した顧客対応のメリット・デメリットについて洗い出してみてはいかがでしょうか?