皆さんは家族や友人、仕事の仲間などに本音を伝えられていますか?お互いの気持ちが伝わらず、けんかになってしまったことはありませんか。相手と分かり合うために重要な“本音”について考えてみましょう。
これは本音?
例えば、ある家庭の1シーンを思い浮かべてみてください。
朝7時30分、玄関では会社勤めの夫が靴の紐を結んでいます。それを見守る妻と子供に話しかけます。
「今日は久しぶりに早く帰るよ!」
平日はいつも忙しい夫でご飯も中々一緒に食べられません。
妻は大喜びし、「今日は夫の好きなすき焼きでも作ろうかしら。」なんて考えながら、夫を送りだしました。
子供もお父さんと夜ご飯が食べられるということではしゃいでいます。
そして夕方には買い出しも終わり、夫が喜ぶ姿を想像しながらすき焼きを用意しています。
19時になり、妻はそろそろ帰ってくるかと夫にメッセージを送ったのですが、返信がありません。
21時、子供は泣き出し、返信をくれない夫に妻はフラストレーションを溜めているようです。
22時、ようやく夫が帰ってきました。妻が言いました「なんでこんなに遅いのよ!」夫はこう応えます。「俺だって早く帰ろうとしたんだよ。でも上司から急に仕事を頼まれて断れなかった。仕方がないだろう!」これを聞いた妻のボルテージはさらに上がり、大喧嘩になってしまいました。
ここで考えてみてほしいのですが、妻の「なんでこんなに遅いのよ!」は本音でしょうか?
その言葉は怒りに乗り込まれ、とっさに出た言葉をそのまま口にしただけで、本音ではないのです。
本音は?
では、本音は何だったんでしょうか?
「久しぶりに家族みんなで夜ご飯を食べたかったからがっかりしたし、腹が立った。あなたを大切に思っているので、返信がなくて心配だった。そんな私の心の痛みをわかって欲しい。」
これこそが妻の本音ではないでしょうか。
本音とは、心の表面ではなく、奥底にまで潜った時にはじめて気付けるものです。
もし妻が自分の本音に気づき、それを夫に伝えられていたら、夫にむき出しの反論を受けることもなかったでしょう。
図にすると下のようなイメージです。 とっさの感情は波のようで、とっさに出てきた先ほどのような言葉もその波に飲まれ、そのまま口にしてしまっただけのことです。大事なのは深く潜らないと気付けない本音です。
本音に気づくには?
西任 暁さんの著書「本音に気づく会話術」ではこう述べられています。
本音は、何か心が揺れるようなことがあった時にでてくる激情のようなものではありません。深く潜った先にこそ、自分の本音が隠れているのです。ではその本音にはどのようにして気づくことができるのでしょうか。
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ニーズに気付け
あなたの周りに、いつも自慢している人がいたとします。その人は「自分の魅力や価値を認めてほしいから、自慢しよう」と考えているのではなく、無意識に「承認」されたいというニーズを満たすために色んな人を見つけては自分の話をするのです。
人が自慢したり、怒ったり、様々な行動や言動をするのはニーズがあるからです。
例えば、あなたの同僚が昇進すると聞きました。自分も頑張っているのになんで同僚が!と憤ることもあるでしょう。
自分も認められたかったという「承認」のニーズ、なぜ同僚が昇進したのか知りたいという「理解」のニーズ。人によって正解は変わってくるのです。
ニーズに気づくと何が良いのか?
結局ニーズに気づいたことで、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ある日あなたは仕事の営業先でお客さまに理不尽なことを言われて、ストレスを抱えていたとします。会社に戻れば部下からの報告がわかりづらく、何が言いたいんだと怒鳴り散らしたり、家に帰れば子供にも何で部屋を散らかしているんだと怒鳴ってしまいます。そして、そんな行動をした自分自信にも後悔をしてしまう。
怒りといった感情に飲み込まれて、出てきた言葉は本音ではありません。その後に出てくる相手を大切に思う気持ちこそが本音です。表面にある感情ではなく、奥底にあるニーズを知ることで、自分の感情をコントロールできるようになるのです。「共感」というニーズがあると自分で気づくことができれば、同僚と飲みにいって、話を聞いてもらうことで解消されるかもしれません。ニーズが何なのかに気づくことができれば、それを解消する方法も具体的に考えやすくなるのです。
そして自分のニーズに気づくことができる人は、相手の感情に至るまでの道筋も想像することができるようになります。
まとめ
感情的になること自体は、悪いことではありません。
その奥底にあるニーズを意識することで、相手が本当に求めていることは何なのか、自分が求めているのは何なのかを知ろうとすることが大切です。感情に振り回されてうわべの会話ではなく、お互いを認め合う。本記事をきっかけに、そんなコミュニケーションをはじめてみませんか。