サポートツールである Intercom には、より連携を深めるための Intercom API が用意されています。本記事では、サポート担当者が知っておきたい Intercom API の概要と用途について解説します。
Intercom とは
Intercom は、統合型のカスタマーサポートサービスです。コードを数行埋め込むだけで、Webサイト上にチャットサポートを組み込めたり、ユーザーのサイト上での動きをリアルタイムで把握したり、最後にサイトへアクセスした日時やユーザーが使っているOSは何かという顧客情報を管理できるサービスです。以前のサポートタイムズの記事でご紹介しました。
Intercom API でできること
Intercom API は開発者向けにオープンに提供されている 開発ツールです。API と呼ばれるプログラミングで自由に Intercom のデータを操作できる仕組みを使って、自社のシステムと連携することができます。以下が開発者向けのページです。
例えば、 Intercom には Events と呼ばれるリソースが定義されています。この API を活用することで、例えばシステム内でユーザーがプランをアップグレードした時、商品を購入した時などに Intercom API を呼ぶことで Event を Intercom に登録することができます。その Event をユーザー詳細で Intercom 内で把握することができたり、メールを送信する際にフィルタリングを通じて特定のイベントが起きたユーザーのみにメールを送ると言ったセグメント化が可能になります。
Event についての詳細は Intercom ドキュメントの動画を見るとわかりやすいです。
Track events in Intercom | Intercom Docs
また、 Intercom での会話内にプログラムが介入することもできます。 Slack などでは Bot が発言するといった形で一般的になっていますね。こちらもとてもシンプルにメッセージを送信することが可能です。
以下はプログラミング言語 Ruby を用いて Intercom の会話に foo
を送るサンプルです。
intercom.conversations.reply(:id => conversation.id, :type => 'user', :email => 'bob@example.com', :message_type => 'comment', :body => 'foo')
誰にのどの会話部屋に対してどんな内容のメッセージを送るのかを指定すればいいことがわかります。最終的なサポートは人間がやるとは思いますが、このように API を通じて会話を支援してくれるような仕組みがあればより効果的なサポートが実現できそうです。
最後に Webhook についてもご紹介しておきます。 Webhook を使うことで Intercom 内で発生したあらゆるイベントをシステム側で検知することができます。例えば以下のようなイベントがあります。(一覧はこちら)
- 会話でユーザーから返信が来た
- 新規ユーザーが作成された
- イベントが作成された
例えば 何かのイベントが発生した時に Slack などのチャットツールに通知したり、先ほどの 会話のAPI を使って自動返信を送ったり、毎回人間が手動で対応しているようなことを自動化するといったことができるでしょう。
開発は手間なのか
Intercom API を使えば、Intercom のあらゆる操作をプログラムで操作できることを解説しました。それではこれらの実装を実際にしようと思った時、どの程度の難易度なのでしょうか。
プログラムを作るだけであれば実際のサービス内に Intercom API を呼び出すソースコードを記述するだけで実現できます。この分、処理に時間がかかってしまうため、大抵は何かしらの工夫(処理をバックグラウンドで実行するなど)の対策をすることになりそうです。また Webhook などを使う場合は http でアクセスできるサーバーの用意が必要です。そのため、Intercom と 自社システムの統合は思ったより簡単ではありません。
Intercom API をもっと手軽に実現できる方法はないでしょうか。
そんな方にオススメなのが、Zapier を利用する方法です。Zapier は あらゆる外部 API を組み合わせて連携を簡単に実現してくれる 連携のレシピ集のようなものです。Intercom ほどのメジャーな API であれば、執筆時点で 97 もの連携を提供してくれています。Slack, Salesforce, MailChimp, SurveyMonkey, Gmail などが使えそうですね。もしこれらで使えそうな連携があれば試してみる価値はありそうです。
終わりに
Intercom をよりシステムと密に連携させ効果的なサポートを実現するために、 API の利用を検討してみましょう。その分エンジニアによる開発が必要となってきますが、より良い顧客サポートのために時間をとって相談してみると良いでしょう。