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カスタマーサポートに遠隔支援を導入する方法と発生するメリット・デメリット

パソコンやスマートフォンなどに不具合が発生した際、主にテクニカルサポートで用いられる遠隔支援(リモートサポート)。スマートフォン所有率の増加なども相まって、近年多くのカスタマーサポートセンターで導入が進んでいます。
そこで今回は、カスタマーサポートに遠隔支援(リモートサポート)を導入する方法と、メリット・デメリットについて解説します。
電話やメールだけで解決できない案件に関して、遠隔支援によるサポートは大きな役割を持つ一方、対応を受ける顧客側はどう感じているのでしょうか?その点についても合わせてご説明します。

遠隔支援(リモートサポート)とは?

遠隔支援(リモートサポート)とは、カスタマーサポートセンターのオペレーターが顧客の所有するパソコンやスマートフォンを直接操作することで、問題の解決を図るアプローチ方法です。

主にパソコンやスマートフォンなどの機器を扱うテクニカルサポート窓口で採用されており、カスタマーサポートセンターにとって必要不可欠なツールのひとつです。

専門知識が必要となる操作をオペレーターが代わりにやってくれるため、機器操作に不慣れな顧客だけでなく、機器の使用頻度が高い若年層の顧客からも高く評価されています。

遠隔支援を歓迎する顧客は多い

遠隔支援の性質上、顧客の端末をオペレーターが遠隔で操作することになります。そのため、「自分の端末を触られたくない」という否定的な意見が多数を占めるようなイメージがありました。

しかし意外なことに、遠隔支援を好意的に捉えている顧客が多いことがあるアンケートでわかりました。

遠隔ソリューションの専門企業である「RSUPPORT(アールサポート)株式会社」が20代~60代の男女575人に取ったアンケートでは、遠隔サポートを活用したカスタマーサービスを展開する企業に対して、「便利」と回答した方が84.7%となっています。

また、「最新」との回答が74.1%、「丁寧」が73.4%と、好印象を裏付ける結果となりました。

参考:遠隔カスタマーサポートの提供企業に対するイメージ調査2位は「最新」、1位は?スマホの操作説明などメジャーなサポート方法に(PR TIMES)

この結果から、自身の端末をオペレーターが遠隔操作することに好意的なイメージを持つ顧客が多いことがわかったと思います。

この結果に至った背景として考えられるのは、遠隔支援(リモートサポート)を依頼する場面は、利用者にとって切羽詰まった状況であることが多いという点です。

遠隔支援を望む顧客の多くは、パソコンやスマートフォンに不具合が発生し、自力での解決が難しいため、専門知識を持ったオペレーターによる直接的な手助けを必要としている方です。

そのため、専門オペレーターの支援による早急な問題解決を望む声が多く、その結果が今回のアンケートに反映されているのではないかと考えられます。

実際『コールセンター白書2022』によると、携帯電話事業者に対して問い合わせした顧客を対象に取ったアンケートでは、「問い合わせした理由」の上位に、端末の不具合や操作方法の相談が含まれています。


・出典:月刊コールセンタージャパン編集部/『コールセンター白書2022』/株式会社リックテレコム/東京/2022.10.31/P127

以上のことから、遠隔操作によるカスタマーサポートは、顧客単体での解決が難しい問題を手助けする手段として有効であり、かつ顧客目線でも好意的なイメージが強いといえるでしょう。

遠隔支援システムを導入する方法は?

カスタマーサポートに遠隔支援システムを導入する方法としては、リモートサポートシステムを提供している企業と契約するのが一般的な方法です。

サービス事業者によって名称はさまざまですが、主に「ASP・SaaS方式(型)」と「オンプレミス方式(型)」の2種類が存在しています。

≪ASP・SaaS方式(型)≫

ASP・SaaS方式(型)は、サービス事業者が管理・運営するサーバーを利用する方法です。利用者側がサーバーを別途構築する必要がないため、すぐにサービスを活用できます。

そのほかにも、オンプレミス型のように追加で機器を設置しなくてよい、サービス事業者が常に最新バージョンへアップデートしてくれるなど、使い勝手の良さが魅力的です。

月額または年額のライセンス契約の形式を取る場合が多いため、カスタマーサポートセンターの座席数に応じて費用が変動します。

・システム導入にかかる初期費用を抑えたい

・システムの導入を迅速に進めたい

・常に最新の状態でサービスを利用したい

というユーザーにぴったりです。

≪オンプレミス方式(型)≫

オンプレミス方式(型)は、すでに準備されている自社システム内に遠隔支援システムを追加する方法です。外部サーバーを利用するよりもセキュリティが強固になる、自社のネットワーク内だけで使用できる、というメリットがあります。

自社で運用しているシステムに合わせて導入を進めていくため、ASP・SaaS方式に比べると利用開始までに少し時間がかかります。

また、自社システムを利用するため、ライセンス使用料を定期的に支払う必要はありませんが、アフターサービスなどに別途費用がかかることも多いようです。

・自社のシステムを継続して利用したい

・セキュリティ面での安心感がほしい

・中長期的に利用していきたい

というユーザーにぴったりだといえます。

遠隔支援システムの導入によるメリット・デメリット

カスタマーサポートセンターに遠隔支援システムを導入することで得られるメリットと、同時に発生しうるデメリットについて考えていきます。

メリット

■課題解決にかかる時間を短縮できる

専門知識を持ったオペレーターが直接顧客の端末を操作するので、電話やメールなどでのやり取りと比べ、課題解決にかかる時間が短縮できます。解決までにかかる時間が短縮されれば、その分多くの顧客対応が可能となるため、応対数の増加も期待できます。

■顧客満足度の向上が期待できる

「遠隔支援を歓迎する顧客は多い」の章で解説したように、迅速かつ的確に実行される遠隔操作でのサポートを好意的に捉えている顧客が多くいます。顧客満足度を向上させるための基本的な考え方としていわれる、「顧客が感じるストレスを減らす」という点からみても、遠隔操作によるサポートは理にかなっているといえるでしょう。

デメリット

■導入にコストがかかる

ASP・SaaS方式(型)、オンプレミス方式(型)ともに導入するためのコストがかかります。ASP・SaaS方式であれば座席数に応じた定額料金が発生しますし、オンプレミス方式であれば、システム導入時に高額な費用が必要です。

とはいえ、ASP・SaaS方式は座席数の調整などにより定額料金をコントロールできます。また、中長期的な利用を考えているのであれば、導入初期以降のランニングコストが少なくて済むオンプレミス方式は魅力的です。

各サービス事業者によって価格や契約形態も異なるため、自社の運営方針にあった製品を慎重に選ぶ必要があるでしょう。

■オペレーターによる遠隔操作を嫌う顧客もいる

セキュリティ面の心配などから、オペレーターによる遠隔操作を嫌う顧客もいます。そのような場合は電話による対応が主な手段となってくるため、口頭で顧客に対応を促すトーク術を磨かなくてはなりません。オペレーターには遠隔操作ができないパターンを想定した対応能力が求められます。

遠隔支援の導入でカスタマーサポートの役割はさらに広がっていく

今回は遠隔支援(リモートサポート)の導入方法や、それにともなって発生するメリット・デメリットを解説しました。

パソコンやスマートフォンなどを多用する時代となっていますので、今後さらに遠隔操作によるカスタマーサポートの重要性が高くなるかもしれません。

より良いカスタマーサポートセンターを目指すうえでも、サポート方法のひとつとして、遠隔支援システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。