例えば、料金の安さと総合的な顧客満足度という2種類のデータの間にはどのような関係性があるでしょうか?本記事では、散布図という分析手法に触れ、顧客満足度アンケートの有効な振り返り手法についてご紹介します。
散布図とは?
散布図とは、2種類のデータをそれぞれ縦軸と横軸に取り、各データの値が当てはまるところに点を打って示す方法です。2つのデータにどのような関係があるのかを把握するのに便利な図といえます。
顧客満足度アンケートの振り返りに散布図を活用する
カスタマーサポート部門が主導して、既存ユーザー向けに顧客満足度アンケートを取ることもあるでしょう。10点満点で現在の満足度をユーザーに回答してもらい、その結果を通して利用継続の可能性などについて現状を把握します。
しかし、単に満足度が何点かということを知るだけでは現状の把握しかできず、具体的な改善策を考え、実行するには不十分です。 そこで、散布図を使ってアンケート結果を分析し、より有用な気づきを得られるように取り組んでみてはいかがでしょうか。
例えば、このような顧客満足度アンケートに回答してもらったとしましょう。
<顧客満足度アンケート> ●サービス全体に対する満足度を0~10点で教えてください。 ●各項目に関する満足度を0~10点でそれぞれ教えてください。 ・料金の安さ ・利用方法の簡単さ ・サポート体制が充実
このようなアンケートを実施した場合、各項目に対して満足度が10点満点中何点かというのが明らかになるでしょう。 ここで「こんな感じか」と現状把握で終わるのではなく、顧客満足度と各項目、2種類のデータの関係性を散布図を使って考えてみます。
・顧客満足度と料金の安さの散布図 ・顧客満足度と利用方法の簡単さの散布図 ・顧客満足度とサポート体制が充実の散布図 この3つの散布図のうち、右肩上がり(正の相関関係)になっている図はどれでしょうか? 右肩上がりになっているということは、その項目の点数が上がれば、顧客満足度も上がるということです。 ここでは、サポート体制を充実させることが顧客満足度の向上にも繋がっているということが見て取れます。(3つ目の図)
これまで単なる現状把握で終わっていた場合、このような気づきを得られるのは大きな進歩と言えるのではないでしょうか。なぜなら、今日から優先的にどの要素の改善に取り組めば良いのか、明確になるからです。
顧客満足度と契約更新回数の関係性を可視化する
次に気になるのは、「本当に顧客満足度は高い方がいいのか」という点ではないでしょうか? これも散布図を用いて可視化してみましょう。
今度は、「顧客満足度」と「契約更新回数」の2種類のデータの関係性を見てみます。 顧客満足度を横軸に、契約更新回数を縦軸に取ります。
上記の図から顧客満足度が高いほど契約更新回数も多いのが見て取れます。 この結果、やはり顧客満足度を高めることがビジネスの継続的な成長には重要だというのが客観的に明らかになります。
まとめ
今回は、2種類のデータの関係性を可視化する分析方法として、散布図をご紹介しました。 2種類のデータを掛け合わせることで、因果関係や相反関係、類似関係などが明らかになるでしょう。また、2種類のデータの関係性を考察する際は、「このデータとあのデータは関係性が深いのではないか?」という仮説に基づいて試してみる姿勢が重要です。このような仮説に基づき、分析することで、思いもしなかった関係性が見えてくることもあるでしょう。
本記事をきっかけに、データ分析の方法として散布図を活用し始めてみてはいかがでしょうか?