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日本のおもてなしの心を改めて学びましょう

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東京オリンピック招致でもキーワードとなった「おもてなし」。改めておもてなしについて知り、日本の文化を学んでみましょう。本記事は、4/25 カスタマーサポート勉強会の登壇内容を記事化したものです。

おもてなしといえば旅館

私は日本の “おもてなし” と言われて、真っ先に旅館を思い浮かべました。おもてなしには着物を着た女将が出迎えてくれるようなイメージがありました。

日本に数ある旅館の中で、35年連続日本一の評価を獲得している旅館があることをご存知でしょうか。石川県にある “加賀屋” という旅館です。日本一の評価を毎年継続している旅館からおもてなしの心を学ぼうと、以下の書籍を手に取り勉強会で共有しました。

加賀屋 笑顔で気働き ―女将が育んだ「おもてなし」の真髄

加賀屋 笑顔で気働き ―女将が育んだ「おもてなし」の真髄

笑顔で気働き というモットー

おもてなしの基本は “笑顔” です。客室係が笑顔であれば、お客様の気持ちも和らぎ、リラックスすることができます。笑顔でない客室係を見てしまうと、私たちも「このホテル/旅館はやる気がないな」と思ってしまいますよね。

加賀屋には笑顔を基本として、"気働き" というものが存在するそうです。気働きとは、相手に気配りをしてお客様ごとに最適な行動をすることです。加賀屋では実際、マニュアルは最低限にとどめています。マニュアル通りの行動は加賀屋では50点。それ以上の点数を獲得するには、お客様毎の特徴によって違うということが共通の認識となっています。お客様が何かを言わなくても気づき、事前に行動する力が求められています。

インターネット業界での “おもてなし”

顔の見えない IT やインターネットの世界でも、人の表情や仕草はメールやチャット, 電話などに現れてきます。笑顔でない時の文字や声は、使う表現やイントネーションによって相手にも伝わってしまいます。だからこそ、全ての業界業種において、心の底から笑顔でいることの大切さを改めて考えたいところです。

旅館では実際に相手の表情や年齢/性別、会話などから情報を取得することができますが、インターネットの世界ではどうでしょうか。 CRM(Customer Relationship Management) ツールの導入により顧客情報を蓄積することで、顧客毎の"気働き"を可能にします。顧客毎の名前、性別、住所、前回面談時の情報などを細かく入力し、きめ細やかな対応を実現することができます。

以下のおもてなしの例は、きっと私たちインターネット業界にも応用できるはずです。加賀屋のおもてなしを参考に、自社でどのようなおもてなしが実現できるか、考えてみましょう。

加賀屋でのおもてなし例

加賀屋ではお客様毎に 5cm 刻みでサイズの違う浴衣を用意されているそうです。お客様とお会いした時点で客室係が体型や性別を判別し、お客様にとって最適な浴衣を用意しています。そして、部屋へ案内したりお茶などを出している間に、お客様の特徴(何か特別な日なのか、一緒に来られた方はどんな方なのか)を察するようにしているそうです。これで例えば誕生日だとわかれば、サプライズとしてケーキを振る舞うなどをします。

女将が一部屋一部屋回ってお酌をするというのも、加賀屋らしい気働きです。一人一人に対してしっかりとしたおもてなしをすることが新たな評判を呼び、お客様が継続して来てくださる。そして気に入ったお客様が他のお客様を呼んで来てくれるようになるのです。

その対応は、時に採算度外視のものも含まれます。例えば金沢の銘酒を飲みたいというお客様に対し、加賀屋がそのお酒を用意していなくとも3時間かけてそのお酒を調達するといったこともされたそうです。そのお客様はその気働きに感動し、熱心なリピーターとして通い続けてくれているとのことです。

おもてなしに集中できる仕組みを構築しよう

加賀屋はおもてなしに集中するために、おもてなし以外の部分は積極的に効率化を図っています。その中で特に業界としても注目されているのが、IT/ロボットの導入です。加賀屋では食事を運ぶのに専用の機械を導入し、客室係はキッチンからお客様の階まで食事を運ぶ辛さから解放されました。このような目に見えない部分をより安全に、そして効率化することで、客室係はその浮いた分の労力をお客様へのおもてなしに注ぐことができるのです。

また、カンガルーハウスと呼ばれる加賀屋専用の保育園も用意されているとのことです。これにより、客室係はお子さんの心配を減らし、仕事(おもてなし)に集中することができます。

これらの仕組みは当時の問題を解決するための苦肉の策だったそうです。今では福利厚生として自社で保育園を構える大企業の事例がありますが、それらが出る前から加賀屋は客室係がおもてなしに集中できるように、これらの取り組みを先進的に行っていました。

客室係が満足しておもてなしを続けてもらうために

おもてなしにはおもてなしをする側の仕事に対して満足してもらうことが必要不可欠です。先ほどの食事を運ぶ機械や保育園などのような仕組みの他に、客室係への接し方に注意を払っているそうです。

何かお客様からクレームをいただいた時は、その客室係に対して強い口調で叱ることはせず、何が悪かったかを業務時間後に気づいてもらうことに注力します。そして気づいてもらったらもうそれ以上は「こうしろ、ああしろ」などと言わない。そうして客室係が主体的な行動、自信を持った行動を取れるよう意識しているそうです。

長く働き続けてくれれば、会社としても専門知識を有する社員が揃う素晴らしい会社にすることができます。採用だけでなく、採用した後のやりがいや目的を持てる環境が今後の企業にますます求められてくることでしょう。

終わりに

今回の勉強会ではおもてなしについて学び、参加者の皆様と私たちでできるおもてなしについて話し合いました。

より詳しい内容は、ぜひ上記リンクから加賀屋の本を実際に手にとって読んでいただければと思います。

サポート勉強会では実際のサポートノウハウだけでなく、このようなサポートについての考え方などもシェアしています。もし興味があればサポート勉強会のメンバーに加入し、次回以降の勉強会の参加を検討してみてください。

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