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Salesforceはなぜ快進撃を続けられるのか?

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Salesforceというサービスはご存知でしょうか? SaaS(Software As A Service)の王者とも呼ばれ、CRM(顧客関係管理のツール)として世界のシェアはNo.1、日本法人もありますので、聞いたことがある方も多いのはないでしょうか。

オラクル出身のマーク・ベニオフ氏によって1999年に設立され、2016年1月期の売上は約66億ドル。大企業になってからも前年比24%と急成長を続けています。Slaesforceはなぜ快進撃を続られるのか?
成長を支える顧客を成功させるための企業文化をご紹介します。

ビジネスモデル

Salesforceは世界でもいち早く購読型のビジネスモデルを取り入れたことでも有名です。2000年代当時は顧客管理のツールに限らず、ソフトウェアを購入し、個々のパソコンにインストールする形が一般的でした。
購読型でのソフトウェア提供するビジネスでは、導入費用が一定期間以上使い続けてもらうことではじめて開発費用などをカバーできるビジネスです。また、導入が簡単であるため、退会やライセンスを減らすのも容易です。つまり、ビジネスモデルとしてサービスを常にブラッシュアップをし続け、顧客に評価や信頼を得続けなければばらない宿命にあるのです。 一定以上の信頼が得られることで、横展開の可能性も広がります。営業部で使われていたものが、マーケティングなど他部署でも活用されたり、グローバル企業が情報共有のために、本国以外でも導入を進めるなどすれば、営業費用を新規にかけることなく導入が拡げられるのです。

顧客と直接話し、ビジョンを共有

普段から顧客との関係を大事にしているSalesforceでは、頻繁に顧客先へ訪問するのはもちろんのこと、年に1回dreamforceというイベントを開き、”直接”顧客と対話できる機会を用意しています。

毎年サンフランシスコで開かれるイベントは来場者数は3日間で17万人にも登り、1つの企業が行うイベントとしては世界最大級を誇ります。

CEOのマーク・ベニオフ氏のトークセッションも用意され、新技術やサービスの発表も行われます。そこで顧客の反応を伺ったり、CEOがSalesforceの未来について顧客に語りかけます。どんな新技術も顧客に受け入れられなければ意味がないと考えているのです。
また、エンジニアが顧客と話す機会を作るのはもちろんのこと、同じサービスを使っている顧客同士がつながる機会にもなっています。

f:id:sennba3:20170606162304j:plain Salesforce公式サイトより

1-1-1モデルによる社会貢献

Salesforceは「1-1-1モデル」という社会還元活動を行っています。 就業時間・製品・株式の1%をボランティアなど、社会貢献活動に充てることが推奨されています。

●就業時間の1%:
社員に対して年6日(20時間以上)の社会貢献休暇を推奨し、会社として様々なサポートを実施している。
●製品の1%:
非営利団体等へのSalesforce製品の無償提供(11ライセンス以上はディスカウント提供)等を行い、活動の効率化を支援。
●株式の1%:
株式の1%程度を助成金とし、非営利団体に直接交付するとともに、社員のボランティア活動を助成することで非営利団体支援へとつなげている。

社員にとって社会貢献をすることによって社員の自社への誇りや、やりがいを引き出すとともに、マーケティングにもつながります。 『企業イメージ構築に役立つリサーチ』(日本リサーチセンター、2014)によれば、企業のブランド価値について「社会貢献を知れば企業イメージが向上する」(74%)、「社会貢献活動を行っている企業の商品・ サービスを選ぶ」(37%)という結果となっています。

顧客の成功を支援するAppExchange

Salesforceの導入先は一般の企業に留まりません。
神奈川県にある旅館の「陣屋」では、Salesforceを顧客管理のあらゆる場面で活用しています。例えば、スタッフがお客様を伺った際に、苦手な食べ物があれば、Chatter(Salesforceの社内向けSNS)に情報が投稿され、調理場の大きなディスプレイで料理人の料理に反映されます。 また、陣屋独自カスタマイズによって、タブレット1つで勤怠管理や会計処理、取引業者へのへの支払い管理など、旅館が行うあらゆる業務が行えるようになっています。

そして、そのシステムはSalesforceが用意したマーケットプレイスAppExchangeで「陣屋コネクト」として販売されているのです。陣屋コネクトは現在では180以上の日本全国の旅館で利用されています。

陣屋のオーナーの宮崎さんは、旅館の業務改善の集合体であるこのサービスによって、自社だけではなく過去10年で25%も減少してしまった旅館業界自体を変えていきたいと考えているそうです。

また、陣屋コネクトのユーザー同士で一方が閑散期で一方が繁忙期のときに、スタッフが手伝いに行く、備品を貸借りし合うなど横のつながりも生み出すプラットフォームになりつつあります。Salesforceがサービスで世界を変えるのではなく、顧客がSalesforceを活用して、自社だけでなく業界を変えようとするプロダクトを提供するような機会を与える場所がAppExchangeなのです。

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まとめ

SalesforceはM&Aなどにも積極的ですが、AIなど先端の分野において独自の技術を使った企業の買収を続けることによって、最終的には顧客により良いサービスを提供することが狙いにあるようです。高い成長を続けられるの企業には、単にサービスを売るというだけではなく、社会貢献の1-1-1モデルや顧客の成功を支援するための仕組みがありました。

「セールスフォース・ドットコムの挑戦 世界は顧客が変える」では世界最大級のイベントdreamforceの詳細も書かれています。興味のある方は是非一度読んでみてはいかがでしょうか。

セールスフォース・ドットコムの挑戦 世界は顧客が変える

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