最近、特にコールセンター業界で注目されている WebRTC コールセンター。本記事では、WebRTC を使うことでコールセンターがどのように変わっていくのかを解説します。
WebRTC の特徴
WebRTC (Web Real-Time Communication) は、HTML5 の新しい標準仕様として、現在も活発に開発が進められているコミュニケーションの新技術です。 WebRTC は、普段お使いの Chrome などの Web ブラウザに標準搭載されており、私たちはリアルタイムなコミュニケーションをブラウザだけで実現することが可能になります。
ブラウザだけで実現できるため、私たちに必要なことは音質を高めるためのヘッドセットを用意し、インターネット回線を引くだけです。これだけでビデオチャットや音声通話などができるようになるという魅力こそ、 WebRTC の最大の特徴となります。
WebRTC コールセンターのメリット
従来、パソコンで電話をするようなシステムを作るときには、 Skype に代表されるような専用のソフトウェアをダウンロードし、パソコンにインストールする必要がありました。そのあと一般公衆、つまり電話をパソコンで受けられるようにするには回線をパソコンと繋ぐ必要があったりと、大変手間のかかる作業だったのです。 WebRTC を使えば、そのような苦労から解放され、私たちは普段使っているブラウザでそのまま電話を受け取ったり発信したりできるようになります。
WebRTC は Web と密接に連携した技術であるため、電話とインターネットの融合をより密接なものにしてくれます。例えば、電話が来た時にインターネット上に保存された電話番号に関連した情報を表示したり、通話が終わった後にメモを保存して他の関係者に情報を容易にシェアしたりできます。また、Web 上で録音を再生して確認するなど、今まで Web ブラウザでは実現困難だったことを、WebRTC は可能にしてくれます。
何より、初期設定や運用など手間のかかる作業は全て Web 上で行われるため、従来は高価で手が出しにくかったコールセンターシステムのコストを格段に下げることができます。
インターネット回線さえあれば電話に出られるということは、私たちはどこにいても一つの電話番号宛にかかってきた電話に出られるようになることを意味します。これによって例えば在宅勤務の方が電話に出たり、雨の日は在宅で仕事をしていたとしても電話対応ができるようになったりと、新しい働き方としても、WebRTC は大きな力になってくれることでしょう。
WebRTC コールセンターのはじめ方
最近では多くの WebRTC コールセンターサービスが無料トライアルという形で気軽に始められるようになっています。サービスのトップページから、簡単な項目を入力して会員登録し、ログインするだけで始めることができます。無料トライアルの中で、自社のパソコンやネットワーク環境、ヘッドセットが正しく利用できるのかを入念に確認しましょう。特に企業の専用ネットワークやファイヤウォールなどを厳密に設定している場合、WebRTC そのものが正しく動作しない可能性もあります。このようなことが起きないようにするためにも、利用が決まってから使うのではなく、無料トライアルを使ってみてから利用を決定するようにしましょう。
リモートワークの用途で WebRTC コールセンターの利用を検討する場合、各拠点やリモートの地点から動作するかも確認する必要があります。特に遠隔地でネットワーク環境が弱いところだと正しく相手の声が聞こえないなどといったケースが稀に発生します。
問題なければそのまま正式利用として使い始めましょう。正式利用の後で電話番号の追加や削除も簡単にできたり、番号に電話がかかってきた時のフローを柔軟に定義したりできるのも、WebRTC コールセンターの魅力です。
終わりに
これからますます発展していくであろう WebRTC コールセンター。これまでは高価で手が出しにくかった本格的なコールセンターも、WebRTC をベースにしたシステムなら比較的手軽に導入できます。スタートアップや小規模事業者にとってメリットの多いシステムとなることでしょう。ただ単に WebRTC コールセンターを利用するだけでなく、外部のクラウドサービスと密に連携すれば、今まで電話という隔離されたコミュニケーション手段が、メール/チャット/SNS といった情報と連動して管理することができるようになります。ぜひこれらの情報管理の徹底にもチャレンジしてみてください。
改めて電話システムについて見返し、WebRTC コールセンターシステムの利用を検討してみてはいかがでしょうか。