CRM Forum 2016 が 2月10日に開催されました。本記事は基調講演のレポートです。顧客満足の先にある顧客感動を実現する上で、コールセンターや私たちにとって必要なことは何でしょうか。
イベント概要
テクマトリックス CRM FORUM 2016 が浜松町にて開催されました。本イベントではコールセンターシステム運営者を始め、コールセンター導入を考えている企業様、より良い顧客満足を求めている管理者の方々が集いました。
本記事では、その中の基調講演「コンタクトセンターから顧客感動を」でピックアップした内容と考察レポートです。
顧客対応の方法の変化
"顧客が何かしら不満や課題を抱えた後に電話をして聞く。相手のオペレーターはその課題を解決することをサポートする。"
今までのコールセンターといえば、このようなやり取りだけで終わっていました。確かに、それで顧客の課題を解決できれば、顧客満足にはつながります。しかし、コールセンターの求められる部分がその先の部分にまで変わりつつあります。
それが「顧客感動」です。顧客がサポートに対し感動するまでの体験を味わうと、そのサービスや商品に対してのロイヤリティ(忠誠心)が飛躍的に向上します。結果として、長期の利用やリピーターとしての可能性はもちろん、知人に紹介までしてくれるインフルエンサーとなりうるのです。
インターネットで情報を検索するのが当たり前になった今、口コミが非常に重要になってきています。その評判を手にするには、今使っていただいているお客様に満足して頂かないといけないのです。それを省いて営業に力を入れても、インターネット上に広まった良からぬ噂をお客様は信用してしまう結果となります。
では顧客満足から顧客感動に至るにはどのような点を工夫したらよいのでしょうか。今回の基調講演では、1つ目に「対応から共感」、2つ目に「Passive から Active」ということについて語られました。
対応 から 共感
コールセンターのオペレーターの立ち位置やコミュニケーションの方法は人によって大きく違います。そのため、各コールセンター運営者はオペレーターの育成に多大なコストをかけています。話し方や課題解決のスピードなどによって顧客満足度に大きな影響を与えてしまうのですから、当然のことです。
その中で一つの方法として「共感」を重視する傾向があるそうです。"一緒に真剣に、真摯に課題を聞いてくれた" という体験は、顧客にとってまた相談したい一つのきっかけになります。顧客を突き放してできるだけ早く電話を切りたい、というオペレーターの心情は電話だとすぐに伝わってしまうのです。
電話を発信する時間を増やせば、たくさんの電話がかかってきた時に対応できない。対応するためには人員を増やす必要がある。しかし、人員を増やすと人件費がかかる。 というあらゆる制約の中でコールセンターは運営されています。
そうした中で顧客感動を実現するためには、オペレータがいかにお客様に共感できるかが重要です。
Passive から Active
今までのコールセンターといえば、基本的に顧客が電話をかけてくるのを待つ Passive な対応でした。顧客が電話をかけてまでコールセンターに問い合わせるということは、余程の不満や理解できなかったことがあるということです。その状態で電話をかけた時につながらない、オペレーターの対応が雑だった、などの経験をしてしまうと、イメージの低下は避けられません。
しかし、コールセンター側から顧客へ Active な対応をとることで顧客感動を生みやすくします。「何かお困りのことはないですか。」「私たちにできることはありますか。」このように顧客のことを理解しながらコールセンターが運営できれば、共感を生む電話対応が実現できます。
技術で顧客感動を生み出す
最近の技術的なトレンドとして、「IoT」、「ビッグデータ」、「人工知能」などが登場してきました。コールセンターでもこれらの技術を組み合わせることで、顧客感動を生むための仕組みが構築できます。
IoT で事前に顧客の大量のセンサーデータをビッグデータとして保存。人工知能で有用性の高い情報として生成します。最新テクノロジーを組み合わせることで、"今電話をかけてきた顧客は〜な傾向がある。"ですとか、"顧客は今この問題で悩んでいる。"などを電話を受ける前に把握できます。
これが Active につながります。事前に顧客の課題がわかれば、こちらから電話をかけることができるようになるのです。
あらゆる顧客の情報を蓄積し課題を見つけ出すことができる最新テクノロジーが、コールセンターと融合することで、顧客感動を生むための仕組みづくりが可能です。
考察
コールセンター業界としても今まさに変わろうとしている分岐点にいると感じることができた基調講演でした。
システム面でコールセンターが変われば顧客満足度が向上するというわけではありません。ベースとなるのはやはり顧客に喜んでもらいたい、満足してもらたいというモチベーションだと思います。人件費がかかるからオペレーターを減らすといった短期的な利益を目指してはいけません。顧客が喜んでくれたその先に、より大きな利益が待っているのです。インターネットで口コミが広まりやすい今、その重要性はさらに増してきています。
3月7日に高円寺にてカスタマーサポート勉強会として、コールセンター特集を開催する予定です。より深いディスカッションがこの場でできればと思います。