福岡県は、コールセンター集積地として3番目に拠点数が多いと言われています。 本記事では、コールセンター移転を後押しする福岡市の「立地交付金制度」についてご紹介します。
福岡県におけるコールセンター展開状況
コールセンター白書2015によれば、2015年7月時点で福岡県には46の拠点があり、内28拠点が福岡市にあるとのことです。46拠点という数字は、沖縄、北海道に次いで3番目に多い拠点数です。 ただ多くのコールセンター事業者が福岡市内に存在するため、採用競争が激しくなっており、周辺地域に比べると平均時給が100円以上高くなっているとのことです。
しかし、こうした状況にもかかわらず、福岡市にコールセンター拠点を構える企業は年々増加しています。それは、福岡市へのアクセスの良さが影響しているとも考えられますし、市として立地支援に力を入れている成果だともいえるでしょう。また、2010年の国勢調査によれば、若者(15~29歳)の人口比率は政令指定都市中NO.1ということで、コールセンターで働く人材の中心層になる若年層の雇用がしやすいという背景もあるでしょう。
では、福岡市としては具体的にどのような支援制度を設けているのでしょうか? 今年4月に新しくなった「立地交付金制度」*1について見ていきたいと思います。
立地交付金制度とは?
立地交付金制度は、市内に新たに拠点進出する事業者様向けに賃料などの一部を市が助成する制度です。今回は、コールセンター事業者を対象とした制度の詳細について触れていきます。本制度は、2016年4月に改正されました。
【対象】
- コールセンター(電話やインターネット等の通信回線,PBX,CTI等のシステムを用いて、相談、案内、受注等の顧客対応を集約的に行う業務)
- データ管理・事務処理センター(データ管理、事務処理等の情報処理を集約的に行う業務)
【要件】
- 基準型:延床面積 300㎡以上、かつ常用雇用 30人以上
- 大規模型:延床面積 1,000㎡以上、かつ常用雇用 100人以上
※操業開始(認定申請から1年以内)時から上記要件を満たしている必要あり。
【助成内容】
◼︎基準型の場合
<オフィス等賃料助成>
- 金額:年間賃借額の4分の1
- 期間;1年間
- 上限:1,500万円/年(㎡あたり4,000円/月)
<雇用助成>
- 金額:正社員 50万円、その他の常用雇用者 15万円 (福岡市民を雇用した場合)
- 対象;1人1回
- 上限:5,000万円
◼︎大規模型の場合
<オフィス等賃料助成>
- 金額:年間賃借額の4分の1
- 期間;2年間
- 上限:2,500万円/年
<雇用助成>
- 金額:正社員 50万円、その他の常用雇用者 15万円 (福岡市民を雇用した場合)
- 対象;1人1回
- 上限:5,000万円
【助成イメージ】
基準型の場合。東京の企業がお客様対応コールセンターを市内に設立。オフィス面積300㎡。5人(福岡市民)を正社員雇用し、25人(福岡市民)を契約社員雇用する。
- オフィス等賃料助成:360万円(300㎡×上限4,000円×12月×1/4)
- 雇用助成:625万円(50万円×5人、15万円×25人)
合計 985万円
【手続きの流れ】
- オフィス等の賃借契約の前日までに、認定申請を行う。
- 認定申請日から1年以内に操業を開始する。
- 操業開始から3ヶ月以内に賃料の確認申請を行う。
- 操業開始日から1年経過後3ヶ月以内に雇用の交付申請を行う。
【連絡先】
経済観光文化局 創業・立地推進部 企業誘致課
TEL: 092-711-4849
おわりに
今回は、福岡市の「立地交付金制度」についてご紹介しました。コールセンター事業者としては地方に拠点を移設することでオフィス賃料などが下がり、コストメリットを享受することができるでしょう。しかし、肝心のコールセンタースタッフが現地で採用できなければ、円滑なセンター運営は成り立ちません。そういった意味で若年層が多い福岡は移転に適しているともいえます。
また、福岡に限らず宮崎など九州エリアに拠点を移設する事業者も増えているようですので、引き続き動向をチェックし、コールセンター開設、コンタクトセンター移設に役立つ情報を発信していきたいと思います。
※2016年9月5日時点の情報に基づき作成しました。