本日は東京駅から徒歩10分のお洒落なコワーキングスペース「DIAGONAL RUN TOKYO」にやってまいりました。カスタマーサポート業界を盛り上げるためのイベント、CS HACKが開催されます。 第6回目のテーマは、「ユーザーがファンに変わる。グローバル企業のCS/UX」です。
グローバルにカスタマーサポートの事業を展開している2社からお話が聞けるそうです。
ファンを作るには?
最初の登壇者は日本コンセントリクスの松野さん。
コールセンターのアウトソーシングを請け負い、多数の世界的な企業のサポートを行っているそうです。ガートナーが行った最近の調査でも実行力世界No.1になるなど、数々の輝かしい実績を残しています。
松野さんからは日本と海外のCSの違いと、それを踏まえて日本のCS担当者がするべきことについてグローバル企業ならではの視点からお話しいただきました。
日本企業と欧米の意識の違い
アイドルグループは、ファンにライブに来てもらったり、CDを購入してもらうことで成立しています。 それと同様に、企業は顧客に支えてもらうことで成立しています。 日本の企業は顧客満足度やNPSの向上はコストだと捉えている企業が多いのに対し、ヨーロッパやアメリカの企業では投資と捉えています。良いサービスを提供することによって、何度も購入してもらうことでLTV(ライフタイムバリュー)の向上を意識しているからです。
CBSに気をつけよう
松野さんによると、CSAT(顧客満足度)やNPSの向上をコストとして捉えてしまうと、サポートで受けた貴重なお問い合わせを経営層まで届けることなく、顧客とのやりとりの間で完結してしまう、CBS(カスタマーブロックサービス)という状況がいくつかの日本の企業で起こっているそうです。CBSの状態になってしまうと、CSが受けた顧客の声が経営層に行き届かず、サービスを改善するサイクルが回らなくなってしまいます。
また、日本でも盛り上がりつつある、顧客のお問い合わせにAIなどが対応するチャットBotですが、海外ではBotが自動で対応するという部分の開発もピークを過ぎ、現在は問い合わせデータの分析を細かく行うことでサポート品質向上を目指す流れにシフトしていっているとのことでした。
75点を目指せ!? コミュニケーションのポイントとは?
続いての登壇者は、Zendeskの原田さん。
ボディビル中に足を怪我しながらも、この日のために駆けつけてくれました。
Zendeskはメールやチャットといったカスタマーサービスツールを提供しており、9万を超える顧客を世界中に抱え、日本を含む世界13箇所に拠点があります。
Zendeskのポリシーとコールセンターのあるべき姿
日本のコールセンターでは、応答時間や応答に関するコストを気にすることが多い。ただ、まずはお問い合わせへの対応が、解決に繋がるものだったのかそうでなかったのか、満足してもらえるものだったのかそうでなかったのかと言う軸で見ていくのが大切ではないかということでした。
トップオペレーターはどんな人?
修行僧?
原田さんが、とあるコールセンターの成績トップオペレーターの女性をモニタリングする機会がありました。
45歳くらいの女性なのですが、その様子はまるで修行僧?のようでした。
電話がかかってきたら、膝の上に手を置いています。キーボードの音すら、お客さまにストレスということなのでしょう。
通話が始まり、まずやっていたことは、お客さまの話を聞いて、共感するポイントを決めます。例えば70歳くらいの方から電話があったら、自分の親だと思って対応する。同じくらいの歳の方の場合は妹や兄弟、男性だったら夫など、身の周り方とシンクロさせて話します。
具体的な人をイメージすることで、言葉使いや話すテンポ、提案のタイミングなどが、より自然にできるようになるのでしょう。
そんな彼女は解約阻止率だけでなく、アップセルも1位だったそうです。
コミュニケーションのポイントとは?
また、LINEといったチャットツールがよく使われている現代では、1回あたりの文章量が少なくなっている傾向があるそうです。そこで必要なのは75点のコミュニケーション。1回で完璧な回答は難しいので、素早く、それなりの対応をして、会話を重ね続けていくことで点数を高めていくことができます。そして、相手の状況を把握するためには、選択肢を与えて、相手の状況を確認していくことも大事です。
所感
先日、日本のカスタマーサポートの給与平均が、営業やエンジニアなどの給与と比較すると低いというデータが、SNSなどでシェアされていました。経営層の「CS=コスト」という意識が、待遇の違いとなって現れているように感じます。しかし、グローバル企業におけるカスタマーサポートの状況を知っている登壇者のお二人から、欧米ではCSの重要性がしっかりと認知され、積極的に投資を行う対象となっていることがわかりました。 欧米の有名企業がサポートを投資と捉えているというのは、日本の企業にとってCSの重要性を示す上で説得力のあるものとなるでしょう。
今後、こういった話や事例が広く知られることによって、日本の企業においてもカスタマーサポートの重要性が正しく認知され、サポート担当者の待遇やサポート品質が改善されていくことを期待したいところです。結果として、消費者も幸せになるような体験が数多く生み出されることを願うばかりです。
サポートタイムズでは引き続きカスタマーサポート業界を盛り上げるイベントや人を取り上げていく予定です。
当日は、ピクシブの中村さんによるグラフィックレコーディングも行われました。
主催者の藤本さん
キッチハイクの料理も振舞われました。
最後に記念写真
以上、CS HACK #6 のイベントレポートでした。