顧客と接する以上、少しでも顧客に喜びや感動を届けたいと多くのCS担当者が考えることでしょう。本記事では、感動を生むカスタマーサービスを実現するために欠かせない「組織全体としての向上心」に関する考察を書きました。
スタッフは日々成長しようとしていますか?
顧客が問い合わせをしてくるときは、大抵何かしらの課題を抱えています。そして、顧客はその課題をいち早く解決したいと心から思っていることでしょう。しかし、対応スタッフの知識がいい加減だったり、要領が悪かったら顧客は誰だって不快に感じてしまいます。なぜなら、自らの期待を満たしてくれないからです。そして、不満を覚えた顧客は二度とその企業のサービスを使わないと決意してしまうこともあるでしょう。
こういった最悪の事態を招かないためにも、現場で顧客対応にあたるスタッフは自社の製品やサービスについて継続的に知識を深め、能力を向上させていかなければなりません。 また、自社のカスタマーサービス品質が良いものかどうかを知りたくなったら、自社スタッフのCSに取り組む姿勢を見ればある程度想像がつくかもしれません。なぜなら、スタッフ一人一人が自己研鑽に励み、製品やサービスについてより深く知ろうとしているのなら、自ずと素晴らしいカスタマーサービスが提供できている可能性の方が高いと考えられるからです。少なくとも、現状に甘んじ、CS担当者としてのスキルや製品知識を深めようとしないスタッフばかりがいる企業よりは品質の良いサービスを顧客に届けられているはずです。
より良いカスタマーサービスを実現したいと願うのなら、まずは自社のCSスタッフ一人一人が成長しようとしているかどうかを注意深く観察してみるといいでしょう。
組織全体に向上心はありますか?
仮にスタッフ一人一人に向上心がないとしたら、それは単にスタッフ個人の問題ではないかもしれません。それは、もしかしたら組織全体の問題かもしれないのです。そもそも、その組織は成長しなくても良しとされてしまう組織だという表れかもしれません。
素晴らしいカスタマーサービスを提供する企業には、組織としての価値観、理念があります。組織として成長することが当たり前であれば、自ずとカスタマーサービスの品質も向上していくのです。もし、スタッフに成長意欲がなくて困っていると愚痴をこぼしているCS責任者がいたとしたら、それはスタッフの問題というよりそれを良しとしてきた組織の問題であるともいえます。カスタマーサービスを通して自社の魅力を伝え、顧客をファン化させたいと考えるのであれば、組織全体に向上心がなければなりません。これは決して一朝一夕で成し遂げられるものではありません。日々の企業としての顧客との向き合い方がCS担当者一人一人の姿勢にも現れるのです。
成長するシステムはありますか?
組織全体として向上心があり、スタッフ一人一人が誰に言われるでもなく、スキルアップを図ろうとする組織であれば、いつしか顧客に感動を届けるカスタマーサービスを実現することができるでしょう。しかし、そういった成長しようとする意識を具体的なものに落とし込む仕組みがあるに越したことはありません。スキルアップトレーニングが定期的に行われる体制や自由に外部研修を受講できる体制など、成長するためのシステムがCS部署内に組み込まれていた方がいいでしょう。この役目は CS責任者や経営者が負わなければなりません。成長し続けられる仕組みを作ることで、カスタマーサービスの品質はより早いスピードで向上し、他社との差別化要因にすらなるでしょう。
おわりに
今回は、素晴らしいカスタマーサービスを実現するために大切にしたい「組織全体としての向上心」について書きました。スタッフの成長意欲は、組織としての日頃の在り方から生まれてきます。成長することが当たり前の組織では、自ずとカスタマーサービスの品質も向上し、いつしか顧客に感動を届けることができるでしょう。そして、その成長スピードをより高めるためには、成長を促す仕組み、システムを考える必要があります。
もし、カスタマーサービスの品質がなかなか上がらない、顧客から喜びの声が届かないと課題を感じているようでしたら、組織としての向上心があるかどうか、一度立ち止まって、自社を見つめ直してみるのもいいでしょう。