最近、開発者以外でも話題になってきた、 Twilio。Twilio が私たちの生活にどのように影響するのでしょうか。今回は Twilio を解説します。
Twilio はクラウド電話 API サービス
Twilio は KDDI ウェブコミュニケーションズが提供しているサービスです。一言で言うと、クラウド電話サービスとなります。 Twilio 単体だけでは何もできませんが、開発者によって Twilio の API を活用することで、あらゆる電話のシステム化が可能になります。
API というのは、開発者(プログラマー)がアプリケーションを作り、連携することのできる仕組みのことです。つまり、何か電話システムやコールセンターを作りたい!となったら Twilio の提供する API を開発者が利用し、構築する必要があります。開発者にとっては今まで困難だった電話とシステムの連携が非常に簡単になるということで人気です。
では具体的にどんなことが実現できるのかというと、一般的なコールセンターの仕組みを作ることができます。例えば電話をかけた時に音声アナウンスが流れ、特定の番号を入力すると次に進める IVR(自動応答電話)機能であったり、通話を録音して着信を管理したり、通話を指定の番号に転送したりといった具合です。
あらゆる業界・業種で電話は必須のビジネスツールになっている今、電話における課題は様々です。それらビジネスフォンや電話の課題を簡単に解決できる仕組みを作ることができるのが Twilio なのです。
でも、お高いのでしょう?
いえ、そんなことはありません。むしろ既存のコールセンターは構築に高額な初期費用がかかりましたが、その費用や構築の時間は一切かかりません。これがクラウドの特徴です。すぐに電話システムを実現したい、まずは始めたいというニーズを Twilio は満たしてくれます。
ただし、コールが大量に来る本格的なコールセンターやビジネスフォンの受付の場合、通常の PBX と呼ばれる電話の仕組みを利用した方が安くなる場合があります。ここは料金シミュレーターなどを使って実際にいくらになるのか測定してみましょう。
IP 電話の課題について
Twilio はクライアントという技術を提供しています。クライアントを利用すると、パソコンのブラウザ(InternetExplore や GoogleChrome) で電話を受けたり発信することができます!
先日紹介した、WebRTC という技術を使うことでリアルタイムな通話が可能になっています。これも技術の進歩が成した技です。
詰まるところ、クライアントはIP電話の技術を利用しています。すると、まず気になるのは音質。電話回線ではなく、インターネット回線を使って電話をするため、その回線状況に影響を受けたり、声をパケットと呼ばれる小包に分割して送信することから懸念される方が多くいらっしゃいます。しかしながら実際にTwilioで電話をしてみると、ほとんど違いに気付かないくらいに今のIP電話は発展しています。IP電話の音質より、マイクやヘッドセットをきちんと準備しているかの方が重要になるくらいです。
また、セキュリティも気になるところです。電話回線ではなく通常のインターネット回線を利用することで、パケットを盗み見られ、通話が盗聴されるのではないかといった心配です。 この点も Twilio は日本のKDDIが電話の基盤を提供しているので、実績と安心があります。通話はHTTPSで必ず暗号化しなければならないルールとなっています。もちろん、だからと言って全てが問題ないという訳ではありません。個々のTwilioを用いて実装する開発者のセキュリティ意識も求められます。
Twilio を利用したブラウザ電話の事例
Twilio は API ですので、それ単体では何もできないことは先ほど説明しました。それでは、Twilioを利用したサービスはどんなものがあるのでしょうか。私たちが把握している範囲でご紹介します。
CallConnect(コールコネクト)
CallConnect(コールコネクト)|5分で電話窓口を開設
CallConnect は5分で電話窓口を開設できるサービスです。Twilio のあらゆるAPIを利用し、安く早く本格的なコールセンターを始めることができます。CallConnect を利用すれば、従来のビジネスフォンの代わりにブラウザが電話の代わりとなります。もはや電話を受けるために電話機や電話回線を用意する必要はありません。2週間の無料お試しがあります。
どこでもコールセンター
http://www.e-cometrue.com/callcenter/
どこでもコールセンターは、クラウドDBサービスである kintone に特化した CTI サービスです。kintoneで顧客管理をしている場合、kintoneで電話の発着信をしたいところ。どこでもコールセンターは kintone プラグインとしてインストールすることで、kintone内で ブラウザ電話を実現することができます。
ftel
https://www.comradesol.com/ftel/
ftelはクラウドを利用した低価格・高セキュリティのWeb型電話システムです。企業ごとに柔軟に機能の追加ができるようです。こちらも CallConnect と同様、2週間の無料トライアルがあります。
終わりに
Twilio を活用したサービスが出始めてきました。ブラウザによる新しいクラウド電話の時代が始まりつつあります。この機会にまずはお試ししてみてはいかがでしょうか。