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コールセンターのBCP対策。留意すべきポイントを解説

2010年代からは、毎年のようにさまざまな災害が発生しています。いまやコールセンターの運営においても365日無事というわけにはいかず、毎年何らかの災害に遭うリスクを考慮しなければならなくなりました。加えて新型コロナウイルスなど、感染症への対策も求められています。

そのようななかでもコールセンター業務を継続するため、業務継続計画(BCP)を策定する必要性が叫ばれています。

とはいえ、何をどう対策してよいかわからない方もいるのではないでしょうか。ここではコールセンターのBCP対策として、何に対してどのように対策すればよいか考えていきます。

災害など業務に影響をおよぼす事象には、さまざまな種類がある

ひとくちに業務継続が危ぶまれる事態といっても、その原因には以下のとおり、さまざまなものがあります。

  1. 地震
  2. 台風や大雨、大雪といった気象災害
  3. 電気や水道など、ライフラインの停止
  4. 感染症の拡大

1番と2番は、オフィスそのものに大きな影響を与えうる事態です。もし窓ガラスが割れる、端末や電気設備が水没するなど、設備に損傷が発生した場合は復旧作業が優先されます。実際には、業務どころではなくなるケースも多いでしょう。2019年の台風19号でタワーマンションが浸水したことは、記憶に新しいものと思います。

深刻な自然災害が発生した場合は交通がストップするため、従業員の通勤もままならず、業務に支障をきたします。これは公共交通機関に限った話ではありません。2018年2月に発生した福井県の豪雪のように、クルマ社会の土地でも起こるおそれがあることに留意が必要です。

3番は2018年に北海道で起きた「ブラックアウト」のように災害に伴って起こる場合もありますが、そうでないこともあります。どちらにせよ、電気がなければ業務ができません。また、断水になるとトイレが使えないなど、従業員の勤務環境は大きく悪化します。

4番のように感染症が蔓延した場合は職場から感染者を出さないためにも、出勤者の絞り込みや在宅勤務の推進が求められます。また、大量の感染者が発生した場合は、コールセンターを一時的に閉鎖する必要にも迫られます。

コールセンターのBCPで対策すべき4つの項目。在宅勤務の導入も検討を。

業務を脅かすさまざまな事態に対して、コールセンターの多くはBCPを策定し、いざというときに備えています。有事の際、迅速に業務を再開するには、以下にあげる4項目の対策が必要です。

  1. 設備に関する対応
  2. コールセンターの運営方法
  3. 従業員へのケア
  4. 在宅勤務の検討

それぞれについて、何を対策すべきか確認していきましょう。

その1:設備に関する対応

設備は、コールセンターの運営に欠かせません。対策すべきポイントには、以下の3点があげられます。

  1. 停電や断水、設備の破損に対する対応
  2. 通信回線が遮断された場合の対応
  3. 執務室の換気を十分に行う

1番と2番は、自然災害への対策として考えるべきポイントです。そもそも電気と通信回線がなければ、コールセンター業務の遂行は困難です。また、水が出ないとトイレが使えないため、業務に支障が生じます。窓ガラスや機器が破損した場合は被害状況を把握し、業務の続行が可能な区域を選ばなければなりません。

このように設備に支障が生じた場合は、以下の手段を検討することになります。

  • 停電に対する対応として、自家発電装置や蓄電池設備の設置
  • 通信回線が遮断した場合の対応(他の通信手段を確保するなど)
  • 体制を縮小しても営業可能かどうかの検討

一方で執務室の換気は、復旧作業や感染症対策で考えるべきポイントとなります。厚生労働省によると、1人当たり毎時30立方メートルの換気量が必要とされています。執務室ごとに就業人員を把握した上で、必要な換気量が満たされているか確認しましょう。もしクリアできていない場合は1時間に2回以上窓を開閉し、空気を入れ替える必要があります。

その2:コールセンターの運営方法

有事の際にどうコールセンターを運営するかも、重要なBCP対策のポイントです。主なポイントには、以下の5点があげられます。

  1. 安否確認など、従業員と連絡する手段を取り決める
  2. 出勤できない従業員が次々と発生した場合の対応
  3. 食料や飲料水の確保
  4. 他の拠点で業務を継続できる体制の構築
  5. チャットボットやサポートコミュニティなど、オペレーターが対応しなくてもよいサービスの拡充

災害は、従業員が自宅にいるタイミングで起こることもよくあります。従業員が出勤できず、平常通りに業務を進められないケースも想定しておかなければなりません。このような事態に備えて、業務の優先付けは必須です。その上で安否の確認方法や従業員への連絡手段を決めておくことも重要です。状況によっては、分散出社も検討しましょう。

災害時の業務では平時と異なり、従業員がランチ難民と化すおそれがあります。このため食料や飲料水といった、従業員の職務遂行に必要な物資の確保も重要です。地震や風水害に見舞われ近隣の店舗が営業していない場合は、オフィスでの自炊を迫られるかもしれません。一方で感染症が原因の場合は、売上がダウンした店舗や飲食店に依頼して、オフィスで弁当を販売してもらうことも1つの方法です。

被災の程度によっては、一時的に拠点を閉鎖せざるを得ない場合もあります。その場合に備えて、他の拠点でどのようなバックアップができるか準備しておくことも必要です。コールセンター業務のアウトソーシングや、オペレーターなしでも対応できるサービスを拡充することも対応策の1つとなるでしょう。

その3:従業員へのケア

災害や感染症の拡大は、人の心に不安を与えがちです。従業員へのケアとして、以下の2点は重要です。

  • 従業員へのメンタルケア
  • 無理な出勤をさせず、給与を保証して従業員の生計を確保する

日々不安を感じる状況では、なかなか仕事に打ち込むことは難しいものです。安心して仕事をしてもらうためにも、従業員の相談に乗るなどのメンタルケアは欠かせません。

加えて出勤が難しい状況で、無理させないことも重要なポイントです。一例として交通機関の途絶や災害による大規模な渋滞、病気などがあげられます。そもそも無理してでも出勤しようという動機は責任感ももちろんですが、給与が減る心配も主な要素にあげられます。有事の際は自己判断で出勤させないとともに、給与を保証することでこのような事態を防ぐことが可能です。

参考:進むコールセンターの在宅勤務。オペレーターケアのポイントは? - CallCenter Times(コールセンタータイムズ)

その4:従業員の交通手段を確保することは難しい。積極的な在宅勤務の導入も検討を

上記の対策を取っても、対応が困難な項目があります。それは、従業員の通勤に用いる交通手段です。朝夕の通勤時間帯には、さまざまな企業に出社する方が駅に押し寄せます。地方では通行できる限られた道路に車が集まり、渋滞が発生するでしょう。これらは、どんなに優秀なコールセンターでも制御できません。

状況によっては、「オフィスに通勤させない」という判断も必要です。いざという時に在宅勤務を行える体制を整えておけば、交通手段が途絶した場合でも問題なく業務を遂行できます。本当にコールセンターでしか行えない業務なのか、今一度業務内容を棚卸した上で、可能な限り在宅勤務が行えるオペレーションにすることもBCP対策として重要です。

オペレーターの在宅勤務は、コールセンター業務を委託する企業の多くも理解を示しています。リックテレコムの調査結果によると、クライアント企業から在宅勤務を依頼されたコールセンターが半数近くにのぼっています。この点は、注目すべきポイントといえるでしょう。

引用:リックテレコム「コールセンタージャパン 2020年10月号 <第2特集> アウトソーサーの新型コロナ対策」

事前の準備と周知徹底が重要。クラウド型コールセンターの活用も検討を

BCPを有効に機能させるためには、単に策定するだけでなく、事前の準備と周知徹底が重要です。加えてクラウド型のコールセンターシステムも、BCP対策として有効です。

参考:クラウド型のコールセンターシステムとは?メリット・デメリットを解説 - CallCenter Times(コールセンタータイムズ)

事前に準備するべき6つの項目。従業員の協力を得るため、周知徹底も必要

BCPが必要になる事態に備えて準備するべき代表的な項目には、以下のものがあげられます。

  • 被災時に優先して復旧すべき機能の洗い出しと、対応の検討
  • 食料や水の備蓄
  • 地震や強風への対策(什器が倒れないように固定するなど)
  • 感染症への対策(消毒の徹底、アクリル板の設置など)
  • 避難訓練の実施

BCPを円滑に実施するためには、従業員の協力も欠かせません。非常時のルールなど要点を1枚にまとめた情報を提供し、周知徹底しましょう。

遠隔地でデータを安全に保管する「クラウドタイプのコールセンターシステム」も検討を

BCP対策には、クラウド型のコールセンターシステムも有効です。データはクラウドに保管されるため、コールセンターが被災し使えなくなったとしても、顧客情報やこれまでの対応記録などデータが消失する心配はありません。加えて他の拠点や自宅からでも、スムーズにアクセスできます。いざという時でも迅速に業務を再開できる点で、心強いシステムといえるでしょう。

CallConnect」は、有力な選択肢の1つです。BCP対策として運用している顧客があることも強みです。

業務実態を把握し、実情に合ったBCPの策定を

ベストなBCPは、各社の実情に応じて異なります。また、十分なBCPの策定には、さまざまな事態を想定する必要があります。本記事を参考にして事前に業務実態を把握し、実情に応じたBCPを策定しましょう。策定後は事前の備えを行い、従業員への周知徹底も必要です。

また、BCP対策として、データをクラウドに保管するコールセンターシステムの採用も有効です。この機会に、ぜひご検討ください。


【参考記事】
月間コールセンタージャパン編集部: コールセンター白書2019. リックテレコム, 東京, 2019, p44-46.
リックテレコム: 新型コロナウイルス感染症対策 メール対応は約8割が在宅化 立ち遅れ目立つ「デジタルシフト」. コールセンタージャパン令和2年10月号: 25-29, 2020.
リックテレコム: データ分析 4分の1に感染者が発生 "在宅化"進め第3波に備える. コールセンタージャパン令和2年10月号: 68-72, 2020.
リックテレコム: 主要各社の取り組み ビジネス拡大と感染予防は両立できる! 主要7社が進める「働き方改革」. コールセンタージャパン令和2年10月号: 73-79, 2020.

東京新聞「「まるで陸の孤島」武蔵小杉タワマン浸水1年 再発防止へノウハウ共有」:https://www.tokyo-np.co.jp/article/60914
日経ビジネス「豪雪で1500台が立ち往生した“道路事情”」:https://business.nikkei.com/atcl/opinion/15/219211/040400007/?P=2
資源エネルギー庁「日本初の“ブラックアウト”、その時一体何が起きたのか」:https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/blackout.html

厚生労働省「「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気の方法」:https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000618969.pdf
NTTコミュニケーションズ「BCPの策定に欠かせない「事前の準備」と「5つの視点」」:https://www.ntt.com/bizon/bcp/business-continuity-planning.html
JBサービス「今見直すべきコールセンターの運用とBCP対策」:https://www.jbsvc.co.jp/useful/management/callcenter_bcp.html
三輪冠奈「パンデミック対策としてのコールセンターの人員計画」:http://www2.ngu.ac.jp/uri/syakai/pdf/syakai_vol4902_11.pdf
リードプラス「【在宅勤務・テレワーク・拠点分散】クラウドコンタクトセンターによるBCP対策の必要性」:https://www.cloud-contactcenter.jp/blog/cloud-contact-center-for-bcp.html
リックテレコム「コールセンタージャパン 2020年10月号 <第2特集> アウトソーサーの新型コロナ対策」:https://callcenter-japan.com/magazine/4871.html

selfree「CallConnect テレワークでの電話対応に」:https://www.callconnect.jp/type/remote
selfree「CallConnect コールセンターのクラウド化を実現。エフィシエント株式会社」:https://www.callconnect.jp/case/efficient