自社でコールセンター(電話窓口)を持っている企業にとって、応対スタッフを効果的に教育することは、より良い顧客体験を提供する上で欠かせないことです。本記事では、コールセンターにおけるスタッフ教育の流れや方法について紹介します。
顧客の問題を迅速かつ的確に解決するために、以下を参考にしてスタッフ教育を行い、電話対応のレベルを向上させましょう。
スタッフ教育の6つのステップ
1. スタッフに自社の事業(サービス)を理解してもらう
自社の事業について学んでもらう機会を作っていますか? トーク研修などを行う前に、まず自社がどんな業界でどんな事業を行っているのか、前提となる基本知識を学んでもらいましょう。事業の現状や問題点についても共有し、正しい現状認識を作ります。
2. 目標を共有する
応対スタッフは、コールセンターの目標やKPIを把握していますか? それらを共有することで、応対スタッフは顧客とどのようなやりとりをして、どんな結果を出せばいいのかを理解することができます。目標を意識することで、モチベーションも維持しやすくなります。
3. ベストプラクティスを教える
新しく入ってきた応対スタッフは、そのコールセンターにおける適切なトーク、取り次ぎ方法、後処理の方法を知りません。どういった対応が理想とされているのか、ベストプラクティスを教えましょう。
4. 応対スタッフ向けのヘルプセンターの使い方を教える
応対スタッフ向けのヘルプセンターは準備されていますか? 顧客向けに公開しているヘルプセンターでも代替可能ですが、顧客の質問に答えるためにどこを参照するべきか、その方法を明確にしておきましょう。また、答えがわからないときには誰を頼ればいいかを決めておくとともに、その人への連絡方法を教え、応対スタッフの不安を取り除きます。
5. 見本となる応対スタッフの隣の席に配置する
見本となる応対スタッフのトークや仕事の進め方を身近で勉強できるように近くの席に配置しましょう。高い基準を知ることで、新しく入った応対スタッフの意識も高くなります。
6. 録音を聞き直し、フィードバックを提供する
通話の録音データを聞くことで、具体的な改善点を知ることができます。クレーマーへの対処方法や返金手続きの案内方法など、実例を元に適切なフィードバックを与えましょう。
応対スタッフのやる気を高める
応対スタッフのやる気を高める方法として、「外発的動機付け」と「内発的動機付け」を知っておきましょう。
外発的動機付けは、インセンティブのような賞罰、対外的な評価によって行動の要因を作ろうとする考え方です。
一方で内発的動機付けは、内面から湧き起こる意欲を行動の要因とする考え方です。内発的動機付けの方が、質の高い行動を主体的に長く継続できると言われています。また、内発的動機付けを行うためには、以下の3つが重要です。
- 有用性(頑張ればうまくいくと感じる)
- 自律性(自分で決めていると感じる)
- 関係性(理解されていると感じる)
仕事を強制するのではなく、適切な権限を与え、主体的な行動が良しとされる環境を整備することで、応対スタッフのやる気を維持しやすくなります。
おわりに
コールセンターにおいては離職率の高さが長年の課題になっています。 現場で働く応対スタッフの心理的なケアはもちろんですが、努力が成果に繋がりやすい環境作りや適切な権限委譲、正当な評価制度の整備も重要です。
経営陣やマネージャーは、応対スタッフひとり一人が仕事にやりがいを持ち、「企業の顔」として素晴らしい体験を顧客に提供していけるよう今まで以上に教育に力を入れ、環境を整備しましょう。