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カスタマーサービス文化の作り方

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素晴らしいカスタマーサービスを提供している企業は共通して特徴的な文化を持っています。本記事では、海外の事例を元にカスタマーサービス文化の作り方についてまとめます。

カスタマーサービス文化とは

カスタマーサービス文化とは、社内における2つの共通認識を指します。

  • 顧客との接し方
  • CSを実際に行っている従業員(ベンダー、下請け)との接し方

カスタマーサービスにおいて顧客からの評価だけを重要視してしまうと、従業員が不満を抱える恐れがあります。この状態では、顧客に対してネガティブなカスタマーサービスになりがちで、結果として良いカスタマーサービスを提供することができなくなってしまいます。そのため、顧客だけでなく、実際にサポートを行う従業員の満足度も同等のレベルで重要視する必要があります。

カスタマーサービス文化の構築手順

では、カスタマーサービス文化をどのように構築していくのか。5つのステップを紹介します。


1、一つの文章で企業としての目的を定義する

カスタマーサービス文化を構築する一番の理由は何かを考えてみましょう。これは企業の理念やビジョンによって大きく変わり、企業ごとに正解があります。一つの文章にすることで、従業員全員が目指す方向性を意識することができ、"会社らしさ" を認識できるようになります。この文化の定義が一つの文章にまとまっていないと、従業員がそもそも覚えられなかったり、意識にズレが生じてしまう恐れがあるため、一つの文章で表現できるようにしましょう。

(例) 私たちは、毎日の生活に予期しない幸せを提供して、違いを生み出すために存在します。


2、理想の文化を実現する上で必要になる要素をリスト化する

定義した目的を実現するために、何が必要なのかをリスト化していきます。10~20個ほどの要素を洗い出してみましょう。

先ほどの例で紹介した「違いを生み出す」という目的を実現するためには何が必要でしょうか。その一つとして、従業員一人ひとりの創造性に大きな価値を置く必要があるかもしれません。マニュアル化されたサポートだけを提供しても、違いを生み出すことは難しいでしょう。また、社内で決めたことを常に改善し続けていく姿勢を持つことも大切です。


3、企業とやりとりする関係者すべてに企業文化を表明する

まずは作成した企業文化を社内に共有します。企業文化を明示することで、今いる従業員だけでなく、今後入ってくる従業員にも共通認識を持ってもらうことができます。そして、やり取りをしている顧客や取引先にもできる限り文化を知ってもらえるように開示しましょう。"なぜ私たちは存在するのか" を顧客や取引先に理解してもらい、共感してもらえれば、両者の関係はより強固なものとなります。

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4、日頃から文化を発信し、強化していく

企業が犯すよくある失敗として、文化を定義して社内に掲示したはいいものの、従業員は単なる広告のようなものとして無視してしまうことが挙げられます。そうならないためにも、定期的にリーダーが明文化した文化について強く発信していく必要があります。繰り返し発言することで、従業員は企業文化が身につくようになります。


5、タレントマネジメントの改善を繰り返す

定義した企業文化の通りに行動する従業員を増やしていくために、タレントマネジメント(能力管理)の改善を続けましょう。具体的には、従業員の能力をそれぞれ項目として分け、数値として各従業員がどのくらいの能力を持っているのかをまとめる作業を定期的に行います。これは採用だけでなく、育成や評価などにも関わってきます。基準が明確になれば、従業員もより熱心に仕事に取り組むようになります。

卓越したカスタマーサービス文化を持つ企業に共通している要素

アメリカで卓越したカスタマーサービスを提供している企業に共通する文化とは、どのようなものでしょうか。

  • 新しく入社した 従業員 だけでなく、既存の従業員に対しての定期的なトレーニング。従業員一人ひとりに継続的な成長を感じてもらう。
  • カスタマーサービス担当の全員が主導権を得られる文化。上司に許可を求める必要がなくなるため、より主体的にスピード感を持って、カスタマーサービスを提供できる。
  • 共通言語の定義。カスタマーサービスで有名な Zappos では、自らを Zapponians と呼び、コンタクトセンターを顧客ロイヤリティチームと名付けるなど、独特のネーミング文化を持つ。会社としての仲間意識を強くする効果がある。
  • 伝説となる物語の共有。会社の文化として何が正しいのかを掲示し、従業員は新たな伝説を作るために創造性を働かせる。
  • "それは私の仕事ではありません" と決して言わない。ディズニーの "Cast" はどんな役割の人であってもゴミが落ちていたら必ず拾う。Zappos では CEO を含めて全ての従業員が通常のコールセンタースタッフと一緒に電話を取って、顧客とやり取りしている。
  • 自分の仕事へのプライドを持つ。顧客に助けを求められたらどんなことでもサポートする or しようとする。
  • そのサービス・商品でなければ体験できないカスタマーサービスを提供する。

終わりに

卓越したカスタマーサービスを提供するのはそう簡単ではありません。日頃から顧客のことを第一に考え、努力を積み重ねていかなければなりません。
しかし、努力の結果、卓越したカスタマーサービスを提供することができれば、多くのファンを生み出し、長期的に成長し続けることができます。素晴らしいカスタマーサービス文化を作り、長く愛される企業になりましょう。

本記事は以下の書籍を参考にしています。詳しく知りたい場合には、ぜひ読んでみてください。