CS (カスタマーサポート・カスタマーサクセス)担当者として最適な人材とはどのような人でしょうか。本記事では、アメリカの事例を元に、CS担当者の採用と育成のポイントをいくつかご紹介します。
フィーリングでの採用を避ける
CS 担当者の採用においては、今までの経験よりも、その人の性格に重点を置く企業が多いようです。 経験や能力はトレーニングや実務経験を積むことで解決できますが、性格は長年培って得られたものであり、すぐに変えることが困難だからです。性格が合わないと、トレーニング過程や実務においてもミスマッチな状態が延々と続いてしまい、多くの問題を抱えることになりかねません。
そんな中、「この人とはなんとなく気が合う」といったフィーリングで最終的な判断をしてしまうことがあります。 しかし、採用においては「なんとなく」で決めてしまってはいけません。
この課題を解決するために、最近では人の考えやマインドについて、数値化して分類するのが一般的になりつつあります。その一つの方法として、性格診断ツールを活用するケースが挙げられます。一見すると占いのようなものではないかと考える方も多いかもしれませんが、性格診断のために用意された質問事項に答えることで、各候補者のパーソナリティを数値化することができます。
まずは今いる社員の中でこのような診断ツールを活用してみましょう。そして、採用候補者が今いる社員たちと同じような回答をするかどうかを観察します。あくまでこれは一つの判断材料にすぎませんが、社風にマッチするかどうかを判断する上では貴重な情報になるはずです。 もちろん、自分たちが今まで持っていなかったもの、可能性を広げられる思考を持った人を採用する意識も忘れてはなりません。
面接では知ることのできない別の側面を知る
面接だけでは候補者の本当の姿を知ることができない、とよく言われています。採用面接に来た人は、当然のことながら採用されようと自分をより良く見せます。いざ一緒に仕事をしてみると、思っていたイメージと違うといったことが発生してしまいます。
このミスマッチは、お互いの時間やお金を無駄にし、会社の将来にも悪影響を与えてしまいます。このようなミスマッチを避けるために、一時的に一緒に働いてみたり、素を出してもらうために飲み会を開催したりと、各企業で様々な工夫がなされています。
その他の判断方法としては、採用候補者がオフィスに到着する前後の行動を観察するという方法があります。 例えば、オフィス前の道路の信号を無視していないか。受付スタッフに対して横柄な態度を取っていないか。スタッフとすれ違った際に会釈はするか。こうした部分こそ、面接では知ることのできない側面です。とりわけ CS 担当者の採用となると、周囲に気を配れるか、礼儀正しい行動ができるかという点が非常に重要です。もし、日頃から横柄な態度を取る癖があれば、やがて顧客に対しても同じような態度をとってしまうかもしれません。
“日頃から主体的に物事を考え、適切な行動を取れるかどうか”は、良い CS 担当者を見極める際の必須の基準です。素晴らしい CS の組織は、マネージャーが CS担当者 に指示を出して行動させるようなことはせず、CS 担当者自身が顧客のことを考えて独自に行動しています。 リッツ・カールトンでは、CS担当者が顧客に対してより良いサービスを提供するために月2,000ドルを上限に使っていいというルールを定めています。もちろん、CS 担当者が毎月2,000ドルを使い切ることはありません。 企業として費用面の心配をするのではなく、「会社は CS 担当者のあなたを信頼しています。顧客のためにすべきことを自分で決めてください」というメッセージを伝えることに重点を置いています。
ミレニアル世代の採用
ミレニアル世代は、従来と同じような採用基準で採用して教育するのでは上手く続かないケースがあります。どのようにすれば彼らが長く働き続けられるような環境を提供できるのでしょうか。
まず、彼らはフィードバックを常に欲していると言われています。教育において、生まれてからずっと親や教師などからフィードバックを受けて育ってきました。それが仕事に入って急にフィードバックがなくなってしまうと、何をすればいいのか混乱してしまいます。彼らには積極的にフィードバックを提供しましょう。
また、ミレニアル世代は責任を共有したいと考えています。彼らに責任を与え、それに挑戦し、最終的に成功する体験を提供しましょう。単に指示を与えてそれ通りに働くことを求めるのではなく、彼らを信頼して任せ、成長するチャンスを与えることを意識します。 他にも、ミレニアル世代は働く時間とプライベートを明確に分ける傾向があるようです。働く時間をしっかりと決め、それ以外は自らの趣味や成長に時間を取る。そんな企業風土が今のミレニアル世代に求められているのではないでしょうか。
そして最後に、CSR 活動が挙げられます。企業として、社会にどう貢献するか。もちろん、仕事そのものが社会に対する貢献ではありますが、それ以上に直感的に、誰もが理解しやすい CSR 活動は、ミレニアル世代の仕事のやりがいに大きくつながる要素です。
終わりに
本記事では、 CS 担当者の採用や育成に関して意識したい点についてまとめました。
本記事は、以下の書籍を参考にしております。
「顧客を無視しろ。彼らはそのうち何処かへ行く」という刺激的なサブタイトルではありますが、顧客を徹底的に考えることの重要性を説いた内容になっています。 本書は US において、 顧客から愛されている企業がどのように CS をしているのかという目線で書かれたものです。英語ではありますが、より詳しい内容に興味のある方はぜひ本書を読んでみてください。