こんにちは。サポートタイムズの畠です。
本日はカスタマーサクセスに関するイベント Japan Customer Success Community(通称:JCSC)#11 が開催されます。会場は六本木にある株式会社SmartHRです。
JCSC とは?
日本ではまだまだ普及・浸透していない「カスタマーサクセス」について情報交換、議論をし、カスタマーサクセスという概念を日本に浸透、活性化させることを目的とした、日本でカスタマーサクセスに挑戦する人たちのコミュニティです。
実際に CS(カスタマーサクセス)に取り組まれている企業様をお招きして、 CS における戦略・戦術・考え方、具体的な施策内容や成果、ときには失敗談なども含めて赤裸々にお話いただく機会を定期的に設けています。
本日は、11回目となる JCSC。どんな方が登壇されるのか楽しみです。
今回のテーマはずばり、オンボーディング *1です。
オンボーディングを削ぎ落として、卒業率UP。トレタがやめた4つのポイント。
今回お話しいただくのは、トレタ株式会社の鈴木高太郎さん。
トレタは飲食店向けに予約・顧客台帳サービスを提供している会社です。鈴木さんはトレタ初の営業として入社し、現在はカスタマーサクセス部署の責任者としてハイタッチ CS の立ち上げとインサイド CS(カスタマーサクセス)の立ち上げをしています。
トレタでは2015年に CS チームが発足しましたが、当時はやり方が属人的で、オンボーディングの成功率が人によって30%以上の開きがあったそうです。顧客が増え続ける一方で、オプション機能なども追加され、 CS の負担は限界に到達してしまいました。
そこで、セルフオンボーディングの割合を増やし、現在に至るまで効率化を進めていきました。その中で重要だった4つのポイントをお話しいただけるようです。
ポイント1 トークをシンプルに
ハイパフォーマーとローパフォーマーの違いを比較したところ、ハイパフォーマーは顧客の状況に柔軟に対応していたことが分かりました。それに対してローパフォーマーは手を抜いていたわけではなく、懇切丁寧に機能説明をしていたそうです。
そこで、訪問時に機能説明のための時間を60分とっていたところを15分に短縮し、残り45分は質問を受けつける時間にしてみました。
顧客も自分の業務に合った内容のみを質問してくるため、必要のない機能の説明をする時間がなくなりました。さらに双方向でのコミュニケーションも生まれ、信頼関係構築にもつながりました。
ポイント2 オンラインツールの活用
当時8名のカスタマーサポートのメンバーで対応していましたが、お客様のところへ訪問して使い方を説明をしにいくまで2ヶ月待ちになっていました。そこで、オンラインツールを導入し、リモートで対応するようにしました。
最初は中々機能しなかったのですが、間仕切りのあるデスクに変更するなど環境を整備し、やるしかないという状況を作りました。
来てもらうことに慣れているお客さんにも、まずは一回オンラインでやってみましょうとお願いしてやってみたところ、訪問しないでも特に問題は起きませんでした。
訪問経験豊富なメンバーは慣れもあり、訪問する方向へ意識が向きやすいため、訪問未経験なメンバーを混ぜることで、オンラインツールの導入が進みました。
結果、移動時間などを減らすことができ、1日の対応人数が増え、顧客の待ち期間を減らすことができるようになりました。
ポイント3 社員は value が 出るところだけ
オンボーディングの効率化は進みましたが、それでも業務量が多く、新たな顧客に対してオンボーディングを繰り返し行っていました。
さらなる効率化のために業務フローを分割し、難しいスキルが必要ない場所についてはパートナーに対応を委託するようにしました。社員の専門知識が必要な機能説明などを社内で対応することで、社員は力を発揮しやすい場所に注力できるようにしました。
ポイント4 動画も粘れば見てもらえる
さらに、社員が行っていた機能説明の部分は、基本的に同じ内容なので動画にすることで効率化しました。
最初は中々見てもらえませんでしたが、設定時にメールで案内し、機能説明の日程調整の電話内でも案内、そしてSMSでもリンクを案内と、何度もプッシュすることで多くの人に見てもらえるようになりました。
所感
継続利用のサービスにとって、カスタマーサクセスはなくてはならないものになってきています。立ち上げ当初の何でもやるというところから、サービスが成長し顧客が増えた際の対応の仕組み化・効率化は、多くのベンチャー企業のカスタマーサクセスが通る道です。
トレタさんの話は分かりやすくまとまっていたものの、その裏では膨大な努力をしてきた様子が伝わり、どういった施策が効果的だったのか惜しみなく語っていただけたため、非常に参考になりました。
JCSC は今後も開催されるので、カスタマーサクセスと聞いてピンと来た方は是非次回以降のイベントに参加してみてはいかがでしょうか。
*1:サービスにユーザーが操作にいち早く慣れ、継続的に利用できるよう導くためのプロセス。初心者への手ほどき。