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【イベントレポート】第三回 カスタマーサクセス天下一武闘会

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こんにちは!サポートタイムズ編集部の畠です。 本日は新宿グランドタワーで開催される CS HACK 主催の「第三回 カスタマーサクセス天下一武闘会」というイベントにやってまいりました。

第三回 カスタマーサクセス天下一武闘会とは?

激変する環境の中、自分のため、企業のため、何よりも顧客のため、カスタマーサクセスを追求する人がいる。「カスタマーサクセス天下一武闘会」はそんなカスタマーサクセスに取り組む企業の4社に LT(ライトニングトーク。短いプレゼンテーション) バトルをしていただきます。

第三回目となる LT のテーマはズバリ「ハイタッチ」です!
カスタマーサクセスの手段には、大きく分けて3つあります。

  • ハイタッチ
    対面などで個別にお客さまに対応するといった手厚い対応の仕方

  • ロータッチ
    ワークショップやトレーニングなどで複数のお客様に対応する方法

  • テックタッチ
    テクノロジーを使って、一斉配信や自動化などによって一度に多くのお客さまに対応する方法

カスタマーサクセスでのハイタッチとは、単体の売上規模が大きな重要顧客へのアプローチ方法だと言えるでしょう。今回はそうした重要顧客である大企業を想定して、セールスからカスタマーサクセス への連携も含め、どんな取り組みをしているのかをプレゼンしてもらいます。基本的にはハイタッチが最も人的コストがかかります。

予選は「7分」、決勝は「10分」とLTタイムを伸ばしてじっくりと施策を語っていただき、優勝者を決定します。

オープニング

オープニングでは CS HACK 主催の藤本さんから、開催趣旨やルールなどを説明いただきました。 また、CS HACKや一連の活動を通して、 CS を新卒に人気No.1の職種にしていきたいとのことでした。

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予選開始

抽選の結果、以下の組み合わせになりました。

第1回戦 SATORI vs ウイングアーク1st
第2回戦 BEDORE vs マルケト

各回の勝者で決勝を行うことになります。

予選1回戦

SATORI 高橋さん

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マーケティングツールを提供するSATORI株式会社で事業部長をされている高橋さん。
SATORI の料金プランは月額10万円のひとつのみ。(アカウント増や送信数によるオプションの従量課金あり)
ユーザーの半数以上はオプションなしで利用されているそうです。現在組織が急拡大中で、ハイタッチを基本に顧客をサポートしています。

セールスとカスタマーサクセス(サポート)の情報共有をどうしているかという観点でプレゼンしていただきました。

受注時の引き継ぎの無駄を省く

申込書の受領時に、セールスがプロジェクト管理ツールでチケットを起票。顧客への提案資料やこれまでやりとりした情報を GoogleDrive にまとめ、サポートへ引き継ぎます。 これによって、受注時の対応漏れが減る、サポート担当者がセールスに何度も情報確認しなくて良いなど、確認作業の無駄を省くことができました。
そして、サポート担当者もすぐに顧客フォローに取り掛かれる体制が作れました。

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引き継ぎがうまくいくことによって、ウェルカムミーティング(導入初期のユーザーとのビデオ面談)の打診を全顧客にもれなく実施することができ、面談を実施した顧客の継続率はなんと11倍になりました。
その他ヒアリングシートの入力を依頼するなど、お客様情報の把握を徹底しているそうです。

ウイングアーク1st 高橋さん

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続いて、ウイングアーク1st株式会社のCSマネジメント部部長 高橋さん。
MotionBoard という BI ツールの活用定着で行った改善について、お話いただけるようです。BI ツールの使い方は顧客によって様々で、何を作るのか設計し、さらにそれを組み立てるスキルが必要となります。MotionBoard は1アカウント3,000円で、最低10人から利用可能です。

製品受注後にセールスは、構築→社内展開→定着化→活用拡大といったフローの中で、アップセルやクロスセル、事例化などを期待しています。

過去に失敗した事例では、数千名規模で導入予定の企業に対して説明会を開催した際、当日現場で製品が動かない、動作が重いといったことが起こり、利用ユーザーが最低利用人数の10人から増えない(アップセルが起こらない)という事態が発生してしまったそうです。

全国で50回開催の説明会を支援

それを踏まえて、大型案件に対して、セールスと CS で行った改善は3つ。
(1) お客様が全国で約50回開催された社内説明会を戦略的に支援。顧客の生の声を聞くことができた。
(2) 関係するすべての部署メンバーで Slack チャンネルを作り、カスタマージャーニーにおいてもれなく情報共有ができる体制を構築。

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(3) 定例会を設定し、定期的にリアルな課題を共有できるような機会を設けました。
これによって、数千名規模で導入した企業のロイヤル化を実現できたそうです。

予選2回戦

BEDORE 遠藤さん

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株式会社BEDOREでカスタマーサクセスを担当している遠藤さん。
BEDORE は、深層学習と日本語固有の自然言語処理技術を組み合わせた自動応答エンジンの提供を行っています。そこでのハイタッチの施策についてお話いただきました。

遠藤さんは、エンタープライズの顧客にとって「リリース(エンドユーザへ公開)をする」ことは非常に重要なマイルストーンであると捉えています。
エンタープライズならではの特徴として、関係者や部署が多い、役割範囲が異なるということがあげられます。
例えば、経営企画の部署ではスケジュール通りにリリースすることの優先度が高いものの、別の部署では実運用での KPI 改善の優先度が高いといったようにリリース基準が異なります。中小企業であれば、まずはチャットボットを出してみて改善していくということもできますが、エンタープライズ、つまり大企業では不完全なままリリースをしてしまうと影響も大きく、オンボーディング(導入初期のユーザーが早期に成果をあげられるようサポートすること)のやり直しや解約につながってしまうこともあります。

セールスと CS が持っている情報のANDを取る

セールスとカスタマーサクセスが持っている情報の AND を取ることで、適切なリリース基準を導き出すことができます。

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各部署の情報を整理し、求められるリリース基準を把握し、リリース基準から逆算したオンボーディング設計を行います。
加えて、それらの提案を”導入前”のタイミングから行うことで、オンボーディングのやり直しやリリースの延期・頓挫を防ぎ、スケジュール通りにエンドユーザへサービスを提供することができます。

マルケト 森山さん

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予選最後の LT はマーケティングオートメーションツール「マルケト」を提供しているマルケト(アドビシステムズ株式会社)の森山さん。
マルケトは年間で数百万円から数千万という価格帯のプロダクトです。 日本法人は製品を提供開始してから5年ほどで、主にセールスやマーケティングの部署で使われています。

マルケト社内でのセールスやマーケティングのプロセスはしっかり定義されていて、その精度を高めるというのが課題と捉えています。

まず1番重要なのが、お客さまの現状とあるべき姿を理解すること。
そのためにビジネス、人、業界の背景を知る、自社の強みやマーケティングのプロセスを知ることが重要です。
今商談をしている人がどういうポジションでどういう役割にいるのかを理解する。役職は低いけど、社内での影響力がある人もいて、そういった方をちゃんと巻き込んでいけているか、そういった一つ一つのポイントをコンバージョンさせていくようにしています。

顧客が自走するまでのロードマップを用意

導入コンサルティングの中で、今の状態から今後どうなっていくべきかというロードマップを用意し、その過程で何をやるべきかを伝えています。
戦術の部分が足りなければ、そこを補強するプログラムを作り、顧客が自走するための支援をしています。
ときには組織体制を変革する必要があることも伝え、それができるような施策を用意します。

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提案の段階からカスタマーサクセスのメンバーが入っているので、引き継ぎの必要はありません。すぐにオンボーディングが始められるようになっており、顧客をサポートする万全の体制が整っています。

決勝

熱いバトルの末、決勝へと進んだのは、 SATORI 高橋さんとマルケト 森山さんでした。
決勝ではどのようなLTを見せてくれるのでしょうか。決勝ではオンボーディングを絡めた施策についてLTが行われます。

決勝戦:SATORI 高橋さん

SATORI では顧客が自走して、ツールを使いこなせるようにしたい。そこを意識してオンボーディングに力を入れています。
そのためにウェルカムミーティングや導入後にセミナーを開催するなど、何度も接触を重ね、本格運用に導いています。
その中で特に力を入れている4つの施策をご紹介いただきました。

(1)ウェルカムミーティング
利用開始時のオンラインミーティング。定形のご案内情報。よくあるご質問や事例などを紹介しています。

(2)個別相談会
セミナー受講後のタイミングで、そのまま個別相談会を行います。参加企業ごとにCS担当を付け、相談に乗ります。
メリットとしては、担当者のAさんはこれを重視している一方で、Bさんはあれを重視しているなど、多面的に企業のニーズを捉えることができるそうです。
また、相談会の途中から社内ミーティングが始まるケースが多く、具体的な施策や活用準備につながっています。

(3)少人数制セミナー
利用開始後、半年以上経っている企業を対象とした少人数制のワークショップ型セミナー。 自らPDCAを回せるようになるというのが裏の目標。参加社同士のコミュニケーションから課題解決になることも。

(4)有償サポート
月20万円で3ヶ月サポート。 有償サポートの NPS® は9.3改善しました。

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これらの施策によって半年ほどでユーザーの NPS® が12.4ポイント も上昇したそうです。

 

決勝戦:マルケト 森山さん

マルケトでは、以下のようなオンボーディングを実施しています。

導入支援コンサル
最初の3ヶ月でやりたい施策、効果が見込める施策を行い、最初の成功体験を得る。(Quick Win)
早期に施策をまわし、効果・成果を体感していただく。

戦術支援コンサル
4プロセスをきちんと顧客の状況に合わせて展開。
カスタマージャーニーマップは重要だが、それを業務に落とせるようように分解し、ジャーニーに結びつけます。KPI や役割を定義して誰が何をやるかまで設定します。 そうすることで、セールスチームはこれをやる、マーケティングチームはこれをやるというのを明確にできます。

オンラインコンテンツ
デモ動画や eBook 、トレーニングプログラム、 FAQ などを提供。

セミナー
クリニックという活用相談室、ウェビナーなども提供。

イベント
お客さまの視座をあげて、この先どうあるべきか?というのを考える。

コミュニティタッチ
オンラインコミュニティ。

ユーザー分科会
顧客によって深掘りしたいテーマは異なる。人事だったり、ITだったり、課題が共有できる人たちで集まる。 主体性をもって課題を解決していける最初の3人を見つける。

ユーザーのグループ企業の中でマルケト勉強会
商談のチャンスにもなり、現在利用していただいている人達の応援にもなる。組織の中での理解者を増やす。

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結果

優勝は、手厚いサポートを提供しているマルケト 森山さんでした。マルケトでは顧客が自走するまでサポートするだけでなく、戦略立案まで行うなどカスタマーサクセスの体制が整っていました。おめでとうございます!

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まとめ

今回は「ハイタッチ」をテーマに、各社の手厚いサポート、導入支援の方法について学ぶことができました。ユーザーあたりの単価が高いサービスが多かったこともあり、その分1社に対してコストをかけてサポートできるという背景もあるように思います。全国各地で説明会を50回開催するといった思い切った施策もあり、見応えがありました。

ハイタッチ施策に取り組む中では、顧客との密なコミュニケーションが生まれやすく、ターゲットとなる顧客像を明確化するのに役立ちそうだと感じました。
単価が低いサービスではハイタッチ施策ばかりを行うのは難しいかもしれませんが、「顧客を知る」という意味では、部分的にハイタッチな施策に取り組んでみるのもいいかもしれません。

以上、第三回 カスタマーサクセス天下一武闘会のレポートをお届けしました。

おまけ

懇親会や二次会の様子です。

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