はじめまして。NTTレゾナントの町田と申します。普段はポータルサイトgooのカスタマーサービス(以下、CS)を担当しています。ポータルサイトとして、メール、ポイント、ブログ、Q&Aなどさまざまなサービスを展開するgooにとっては、とても重要な要素です。
gooのCSでは、昨年からリアルタイムでのチャットサポートを導入しており、この1年でいろいろと試行錯誤しながら、改善を続けています。その結果、チャットサポートでの応対満足度を88%まで上げることができました。今回はチャットサポートでの応対満足度向上を目指す中で得たノウハウをいくつかご紹介します。
NTTレゾナント / CSチーム 2017年にNTTレゾナントに入社。CS担当となり、gooユーザーの満足度向上を目的としたサポート業務やソーシャルメディアの運営業務を担当。
チャットサポートに向いているかどうかを見極める
チャットサポートのノウハウを語る前に、そもそもチャットサポートが得意とするユーザーの問い合わせと、そうではない問い合わせがあると思っています。
チャットサポートが向いているのは、「サービスの使い方がわからない」などHow to的な問い合わせです。gooで例えると、「gooブログの新規開設の方法がわからないから教えて」などの質問ですね。こういった質問は、リアルタイムでの解決が可能なので、チャットサポートが持つ「即時性」のメリットが最大限活かせます。
一方でチャットサポートに向いていないものもあります。それは解決までにどうしても時間が必要となるものです。たとえば、ユーザーと同じ環境で検証が必要となる場合。このような場合は下手にチャットサポートでサポートを続けると、ユーザーを待たせてしまい、不満を募らせてしまいます。このようなときは、メールでのサポートに切り替えるなど、サポートの方法を変えてしまうのがおすすめです。チャットサポートを導入開始した段階で、チャットサポートの特性を理解し、お問い合わせ内容によって、サポート方法を決めておくと良いです。
ユーザーを待たせないための工夫を
チャットサポートにはスピーディーなサポートが求められます。リアルタイムでのサポートのため、何も応答が無い状態で30秒ほど待たされるだけで、ユーザーが「待たされている感覚」になってしまいます。問題解決をいち早くしたいユーザーからすれば、この「待たされている感覚」が不満に直結します。
回答スピードを上げることにはどうしても限界があるので、gooでは、ユーザーの「待たされている感覚」を無くすことに注力しています。例えば、こちらがタイピングしている間にはユーザーのチャット画面には「回答入力中」と出るようになっていたり、長文になる場合は文章を細かく区切って送るようにしています。
こうすることで、全ての回答を返すまでのスピードは変わらないですが、「いま対応しています」ということをユーザーに知らせることができるようになり、ユーザーの「待たされている感覚」を無くすようにしています。
ここはメールとは大きく異なるポイントです。限られた時間の中だと、応対満足度向上のためには、メールはやり取りの数を減らすことが基本ですが、チャットサポートはその逆。やり取りの数を増やすことが応対満足度向上に繋がりやすいのです。
また、チャットサポートはログが残るので、アンケートで「不満があった」に回答したチャット対応などは、ぜひチームでログを見返してください。そうすることで、「文章をここで区切って送ったほうがよかったね」や「これはチャットだと対応が難しいので、メールでの対応に切り替えたほうがいいね」などのノウハウを全員で得ることができます。
無機質なチャットサポートからの脱却
応対満足度の数字を上げるためには、チャットサポートの見せ方も気にする必要があります。チャットサポートの対応者が人間であっても、ユーザーから見えるのはチャットボックスだけで、無機質なものに見えてしまいがちです。
例えばアップル社などでは、人の顔写真をチャットボックスとともに表示することで、そこに人がいるということをビジュアルで表現している方法を採用しています。
gooのチャットサポートでは、ユーザーにチャットサポートを進めるポップアップにgooのマスコットキャラクターで、ユーザーからも親しまれているメグたんのイラストも出すようにしました。
これは、チャットサポートの対応者がユーザーに見えないという部分を逆に利用した工夫です。見たことのない対応者の顔写真を見せるよりも、親しみのあるキャラクターを見せたほうが、ユーザーにとって印象が良くなるのでは、と考えた結果です。
海外の企業の事例ですが、チャットサポートのアイコンを変えるだけでユーザーのチャットの反応が変わった結果も出ています。チャットのアイコンを変えるのはそれほど難しいことではないので、特に自社でキャラクターなどのコンテンツを持っている企業は一度検討してみてはいかがでしょうか。
終わりに
今回は、gooで実践しているチャットサポートのノウハウについて紹介させていただきました。紹介させていただいたトピックは、どれも導入が難しいものではありませんので、チャットサポートの特性を理解しながら、自社にあったかたちでご活用いただけますと幸いです。