オンボーディングという言葉をご存知でしょうか? ひとことで言うと、“初心者への手ほどき”という意味です。 サービス提供者にとっては、新規ユーザーに対して手ほどきを行い、定着させるプロセスのことを指します。
具体的には、Webサイトや広告等の最初のタッチポイント、会員登録フォーム、チュートリアルをはじめとした教育コンテンツなど、サービスを正しく使い始められるようにするまでの一連の流れすべてがオンボーディングのプロセスに含まれます。
本記事では、特に会員登録からチュートリアル周辺のプロセスで重要になるポイントを事例と共にご紹介します。
Wow!を組み込もう。
ユーザーを定着させるには、どのようにしたら良いのでしょうか?
初期のオンボーディングのプロセスの中に、Wow! を組み込むことがとても重要です。Wow! とは「導入決定者がサービスの価値を実感できる機会」です。
例えば、世間一般で幅広く使われているチャットアプリは、必要なメッセージだけを手軽に届けることができ、スタンプによってコミュニケーションを楽しくすることができます。アプリを導入してすぐにそのアプリのコアとなる体験をすることができるのです。このような機会をオンボーディングプロセスの中で確実に届けられるような設計にしましょう。
オンボーディング初期で重要なこと
Wow!となるような体験をオンボーディングの初期プロセスに組み込む際、どのようなことに気をつけたら良いのでしょうか。
大きく2つのポイントがあります。
1. 最短で届ける。
Wow! は最短で届けましょう。例えば、トライアルの申し込みフローが長ければ、当然 Wow! にたどり着くまでに時間がかかってしまいます。結果としてユーザーはサービスの価値をなかなか実感できずに離脱してしまうこともあるのです。
語学学習アプリの Duolingo は、サイトにアクセスするとすぐに語学学習を始めることができます。そして、一通りサービスを体験にした後に会員登録の提案がきます。最初にWow! の体験を持ってくることで、サービスの価値をどこよりも早く提供しているのです。
優先度の低い入力項目やフローは、 Wow! を体験させた後に持っていくなど体験の順番を工夫しましょう。こうした工夫が、ユーザーのサービスに対する理解度や離脱率を大きく左右することになります。「このフローはいつにするべきなのか?」ということを常に問いかけながら、最適なオンボーディングプロセスを設計しましょう。
ブラウザ電話システムの CallConnect では、会員登録をした後、着信時の初期設定がされた状態から利用が開始できます。ログイン後、すぐに電話の受発信を体験できるということを優先し、設定のチュートリアルは後にしています。
2.迷わせない。
機能も少なく、サービスを使い始めるのにユーザーが苦労しないサービスもあれば、コードをサイトに埋め込むなど一定のフローを踏むことで利用できるサービスもあります。機能やページが多くなれば、その分ユーザーの選択肢が増え、結果的に最初に何をすれば良いのかもわかりづらくなっていきます。
その中でどうしても必要なフローがあるのであれば、初回に限ってガイドをつけたり、プログレスバーを画面上部に設けるなどして、この後どんな操作をすれば良いのかということがわかる仕組みを作りましょう。
Slack はチュートリアルの際にサイドナビの文字が見えないようにしています。ユーザーに不要なものを見せないことで、余計な選択肢をなくし、ユーザーが迷わない設計にしていると言えるでしょう。
サポート担当者ができることは?
カスタマーサポート担当者にできることは何でしょうか?
ユーザーの問い合わせがどのようなプロセスに起因して発生しているのかを意識して対応しましょう。問題点をプロセスごとにまとめれば、問題となっている箇所をただ修正するというのではなく、プロセスの順番に問題があるのでは?といった考察をすることが可能になります。俯瞰することで、プロダクト全体の問題点を整理することができ、他チームへの共有や説明の説得力もアップさせることができるのです。
まとめ
サービスのコアとなる機能を磨いていくことが重要なのは言うまでもありません。だた、その機能を体験するまでの道のりが長くなってしまえば、サービスの価値を体験する前に離脱してしまうユーザーがいることも事実です。せっかく磨いたプロダクトの良さを少しでも早く伝えるために、オンボーディングプロセスの改善に取り組んでみてはいかがでしょうか?
以上、オンボーディング初期に重要なポイントについてお届けしました。