2017年11月28日に、Zenlab が開催した「Relate Live by Zendesk in NY 報告会」に参加してきました。 本記事では、イベントの内容や参加して感じたことについて共有します。
Zenlab って?
Zenlab は、カスタマーサービスソフトウェア「Zendesk」のユーザーコミュニティです。 導入前、導入初期から導入後の使い方、Tipsなどを共有し、Zendesk ユーザー各社が最高のカスタマーサービスを提供できることを目指し、情報交換・学びの場をつくろうというコミュニティが Zenlab です。
Zendesk ユーザーである、ランサーズ株式会社 冨樫謙太郎さん や、株式会社リクルートライフスタイル 遠田望さん が中心となって、有志で運営しています。
記念すべき第一回のテーマは「Relate Live by Zendesk in NY 報告会」。 Zendesk が2017/10/23-25にニューヨークで千数百人規模の Customer Experience のイベント「Relate Live」を開催しました。
そこに日本のZendesk 利用企業のウォンテッドリー、エウレカ、クックパッド、GMOペパボ、ピックアップ、ランサーズ、Loco Partners、リクルートライフスタイルの全8社から9名の有志で参加してきたとのことで、様々なセッションに参加して得た気づきや感想をシェアしてもらえるようです。
筆者が提供しているサービスでも、メールサポートに Zendesk を活用しているため、どのようなお話が聞けるのか非常に楽しみです。
ということで、早速イベント会場へ。 ユーザーコミュニティ「Zenlab」の発足後はじめてのユーザー勉強会にも関わらず、100名近い参加申し込みがあったようです。
19:00。イベント会場に到着!
会場に到着すると、色鮮やかな食事とドリンクが用意されていました。 会場ではすでに参加者の方々がビール片手に談笑中。
広々とした会場もあっという間に参加者の方々で満席に。
司会は、 ランサーズ株式会社 冨樫謙太郎さん。 さぁいよいよ、「Relate Live 報告会」のスタートです!
Zenlab 発足の経緯について
最初に、冨樫さんから Zenlab を発足させた理由、経緯についてお話がありました。
Zendesk ユーザーであった冨樫さん自身、Zendesk を使う上で様々な課題を抱えていたそうです。その課題を解決するためにも、実際に Zendesk を使っている他のユーザーさんに Zendesk の活用事例を聞くことができれば、自社及び他社のカスタマーサービスの成長に繋がると考え、今回 Zendesk のユーザーコミュニティ「Zenlab」を発足させたとのことです。
また、様々な国にサービス展開している Zendesk ですが、このようなユーザーコミュニティがオフラインで立ち上がっているのは日本が初めてだそうです。
そして、コミュニティ活動第一弾としてニューヨークで行われた「Relate Live」に参加。
「Relate Live」のテーマとなった「Trust」をキーワードに、CSトレンド、AI、マネジメント について話を聞いてきたとのことです。
パネルディスカッション
続いては、GMPペパボ株式会社 宇賀神卓馬さん と、
パネラーの方々(左からクックパッド株式会社 立松さん、株式会社Loco Partners 三原さん、ピックアップ株式会社 小川さん)から、「Relate Live」のセッション概要についてお話が聞けるようです。「Relate Live」は、Zendesk の具体的な使い方や事例紹介というより、今後のトレンド共有といった点がセッションの中心となっていたそうです。
まず、2018年のキートレンドに関するお話がありました。
A-COMMERCE
例えば、Amazon の「Echo Look」にはカメラが付いているので、撮った写真に対して機械学習とファッションの専門家のアドバイスを元に「どの服が似合うか」を判別してくれます。購入フローを自動化していくような流れがどんどん来るでしょう。
また、「Digit」というサービスは、自分の口座情報と連携させることで、入出金の動きを把握して、生活に支障をきたさない程度で貯金にお金を回してくれます。2015年にローンチされ、5億ドル以上がサービス総計で貯蓄されています。アメリカ人の3分の1は貯蓄していないと言われる中で、自動で調整してくれるようなサービスが登場し、このような動きが起きています。
ADAPTIVE BY DESIGN
最近では様々な選択肢・サービスが存在しているため、顧客も企業・製品に対するロイヤルティを簡単に撤回するようになっています。そういった中で、「RYU」では、服のサイズがアップ・ダウンした場合、例えば50%オフでサイズ変更後の服が購入できるようにするなど、サイズが変わっても長期的に顧客との関係が続くような施策を講じています。
VIRTUAL COMPANIONS
ある調査によると、2016年に比べて約4倍、メッセージングアプリなどを使うようになってきているそうです。今後は、Alexaと連携して自分の口座残高を確認したり、スタバで支払った金額はいくらかといったことを把握するなど、そういった進化を遂げてくると考えられます。
MOMENTS OF TRUTH
昔は、情報を持たない層が多かったと言えます。しかし、現代では、ユーザーが様々な情報にアクセスすることができ、膨大な情報を持っています。様々なことが筒抜けになる世の中において重要なのは、“信頼”だといえるでしょう。今後ますます企業としての信頼性がビジネスの成否を分ける要素になっていきます。
続いて、社員満足度を高める上で重要な点についてお話がありました。
ピラミッド構造で考えたときに、一番下にくるのは、社員が心理的な安心、安全を感じられるかどうかという点です。 その上のステージは、社員が会社に対する帰属意識を持てるかどうかという点です。そして、さらにその上のステージは、今の仕事が社会的な価値を生み出しているという実感を得られるかどうかという点です。
CSの現場でも、「この一件のメール対応が何に繋がっているのか」「CSの業務が経営にどのような影響を与えているのか」といったことを疑問に感じる方が多いように思います。社員満足を最大限高めるためには、このような点を明確にする必要があるでしょう。
実際に「Relate Live」のセッションの中では、従業員満足度を高めることで売上が上がった事例が紹介されていましたが、ただ単に福利厚生にお金をかければいいという訳ではないようです。5年間で40億ドルをかけたが社員満足度が上がらなかった事例もありました。
総括&Zenlab の今後の活動について
最後に、株式会社リクルートライフスタイル 遠田さん から「Relate Live」の総括と、今後のコミュニティ活動についてお話がありました。
今回の「Relate Live」は、“信頼”が大きなテーマになっていました。Poor な体験は企業の信頼性を損なってしまい、結果的に「その会社のサービスを使うのはダサい」といった感覚が広がってしまいます。
また、「Relate Live」への参加を通じて日本と海外におけるCXのギャップも感じました。今後はテクノロジーを積極的に活用する姿勢が国内においてもっと広がっていく必要があると思います。その中で、おもてなしといわれる姿勢で顧客との精神的な距離を縮めていく必要もあるでしょう。
そして、今後のカスタマーサポートには、AIを活用した不具合の予測やデータ(分析)を元にパーソナライズされた情報提供、ユーザーのニーズにあった問い合わせチャネルの提供が求められると思います。今後CS担当者にはマーケッターとしての素養が必要とされるように感じました。
Zenlab の今後の活動
遠田さんによると、Zenlab は今後オンライン/オフラインそれぞれで活動していくとのことでした。 Facebookグループ上でのコミュニケーションや1~2ヶ月に1回のユーザーイベントが中心となるようですので、ご興味ある方は参加してみてはいかがでしょうか。
【Zenlab Facebookグループ】 https://www.facebook.com/groups/141197926622414/
次回は、2018年2月6日に開催が予定されています。
まとめ
今回はZendesk のユーザーコミュニティ「Zenlab」発足後、初めてとなるイベントに参加しました。 筆者も Zendesk 導入時には設定方法や運用方法に関して課題を感じることが多かったため、今後コミュニティが発展することで、より良い使い方を体系的に理解できるようになればと期待しています。
また、信頼の重要性について改めて考えるいい機会となりました。誰もが企業や製品に対する肯定的な評価はもちろん、悪評も知ることができる時代だからこそ、企業としての透明性を確保し、真摯誠実に社会、そして顧客に向き合っていくことが重要だということでしょう。 短期的な利益追及などを優先することによって顧客を裏切ることになっていないか、あらゆる企業が自問自答する必要があるのではないでしょうか。
「Zenlab」の活動にご興味ある方は、本記事をきっかけにコミュニティに参加し、最高のカスタマーサービスについて考えてみてはいかがでしょうか。
以上、初開催となった「Zenlab #1」の参加レポートでした。