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ZendeskやSlack、業務改善に活かせてる? CS JAM #11 イベントレポート

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突然ですがみなさん、SlackやZendeskを普段の仕事でうまく活用できていますか?
本日はカスタマーサポートのイベント「CS JAM」が開催されるということで、六本木のメルカリまでやってまいりました。
第11回目となる今回のテーマは「ツール発!成果につなげるMOVE FASTな業務改善事例」。

CSが現場で使用する数多のツールにフォーカス!ということで各種ツールを駆使し、業務改善を実践している3社の事例が聞けるそうです。

CS JAM とはフリマアプリを提供しているメルカリが主催するカスタマーサポート業界を盛り上げるためのコミュニティイベントです。 csjam.connpass.com

メルカリ 上村さんの司会で、乾杯!

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Slackによるコミュニケーション、どう使ってるの?

まず最初にコミュニケーションツールのSlackをどのように活用しているのかというテーマがあがりました。

遊び心のある会話で、コミュニケーションが活発に

最初の登壇者は知識・スキル・経験のオンラインマーケット「ココナラ」の土屋さん。

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土屋智敬/[株式会社ココナラ](http://coconala.co.jp/) カスタマーサポートグループ グループマネージャー
20年近いIT業界の中で、スタートアップの激動期やCS業務の立ち上げを経験。アマゾンから2015年7月にココナラに入社し、カスタマーサポートの責任者として、業務フローの構築、メンバーの採用・育成を行う。趣味はトライアスロン、得意料理は煮玉子。


チームの生産性が高いかどうかは、会話が多いかどうかで変わってきます。チームで雑談やランチ、週末何やってたの?といった会話が多いチームは生産性が高く、会社に行ったのに誰とも話さないようなチームは生産性がイマイチと言われています。

Slack導入以前は別のツールを使っていました。しかしながら、そのサービスは頻繁にダウンして使えなくなってしまうことがありました。また、使い勝手が悪いため、コミュニケーションが十分にはとれていませんでした。
そこで、社内でもどうしたらよいか考え、ツールを探したところ、Slackを導入することになりました。Slackはメンションなどアプリの使い勝手も良く、メンバーがどんどん使っていくようになりました。
例えば絵文字ひとつとっても、「お疲れ様。」のコメントがあれば“乾杯”のアイコンをつけるなど、遊び心を盛り込みつつ使っています。そうすることで会話も活発になりますよね。会社内サークルのようなものもあるのですが、趣味やイベント用にもチャンネルを作ったりしています。基本的にはチャンネルにロックはかけていません。そのため、CSのスタッフが経営管理のルームや開発のルームに参加することもできるのです。

見るべき指標を通知することで、考えるきっかけを作った

続いてフリマアプリ「メルカリ」や地域コミュニティアプリ「メルカリ アッテ」を運営するメルカリの日下さん。

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日下修平/[株式会社メルカリ](https://www.mercari.com/jp/about/) CSグループ
大学在学中にメルカリ アッテのCSチーム立ち上げメンバーとしてインターンを経験後、2016年8月にメルカリへ正式JOIN。現在はメルカリ アッテのカスタマーサポートとして、主にCSツールの機能や業務フローの改善を行う。スキニーパンツとコーヒーがアイデンティティ。


メルカリでも、基本的に機密情報以外はすべてのSlackチャンネルがオープンになっています。開発者との報告・連絡・相談もSlack内で行っています。
そこで、業務コミュニケーションの一貫として、Googleスプレッドシートに用意したクエリを自動実行し、返ってきた数字をグラフ化&画像化して、毎日Slackに投稿するBotを作りました。

というのも、CSはシフト制の勤務ということもあり、毎日対応するメンバーが変わります。その日の数字だけを見ていても全体像はつかめませんが、1週間単位のグラフにすれば、数字のアップダウンがあることに気づき、それがなぜなのかを考えるようになります。例えばKPIが正しい数字なのかなど、きっかけがあれば考えるようになるだろうと思い、自らBotを作りました。

CSは日々時間に追われる職業でもあるので、分散しているデータを各ツールにメンバーそれぞれが確認しにいくことは現実的ではありません。しかし、常時コミュニケーションで使っているSlackに自動で流れてくる仕組みを作れば、嫌でも目にしますよね。そして毎日この時間にくるというのがわかれば習慣になり、他のメンバーも「そろそろデータが投稿される」と意識するようになりました。

そのほかにも、Zendeskのカテゴリごとの残チケット数が流れてきたら便利だなと考えていました。そこで、APIを利用し、カテゴリごとに今どれくらいのチケットが残っているのかを1時間ごとにSlackに投稿してくれるBotを作りました。僕がいるソウゾウでは「MOVE FAST」というバリューを掲げ、「早く動く」という文化が根付いているので、それを体現できるよう日々意識しています。

要対応のチケット数を定期的に通知

最後は料理レシピサービス「クックパッド」の立松さん。

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立松貴央/[クックパッド株式会社](https://info.cookpad.com/) ユーザーサポート部 テクニカルサポートグループ グループ長
大学卒業後、ベンチャー企業にてショッピングサイトやレンタルサーバーのユーザーサポートを経験。 2014年にクックパッドに入社し、現在はテクニカルサポートグループで不具合の早期発見や、ユーザーの声・スタッフの声を集めサービス改善や業務改善に従事している。もののけ姫をこよなく愛する。


クックパッドでも定期Botを活用しています。朝9時半、15時、17時に、要対応のチケットがどれだけ残っているかを確認するためのメンションが投稿されるようにしています。

シフト休が半自動で入る仕組みを構築

Slackの活用例ではありませんが、メンバーに喜ばれた取り組みがあります。CSはシフト制なので土日などにも仕事が入ったりします。
シフトが決まれば、各自がGoogleカレンダーに投稿していました。しかしながら、入力漏れなども起こっていたため、Googleのスクリプトを使ってフォームに入力し、送信ボタンを押すだけでGoogleカレンダーにシフト休が自動で記入される仕組みを作りました。

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顧客対応の改善事例を教えて!

各企業がツールを使ってどのように業務を改善したか、実際の事例を紹介してもらいました。

便利なツールの活用を促進

メルカリ 日下)

私はツールや仕組みを使って効率化させることが好きなんです。というのも入社前にプログラミングスクールに通っており、その時初めてMacに触れたのですが、受講を通して便利なショートカットやツールが沢山あることを知りました。メルカリに入ってからも、良いツールを見つけたらメンバーに共有するようにしています。

例えば、Google Chromeでもタブをたくさん開いていると、パソコンが重くなっていきますがOne Tabという拡張機能を使うことで一時的にタブを避難させ、パソコンのメモリを開放させて軽くすることができます。その他にもClipyというコピー&ペーストツールもオススメです。これは、例えば20回前にコピーした内容も保存しておいて、ペーストすることができます。テンプレート機能もあり、「お問い合わせありがとうございます。・・・」といった定型文も登録することができ、予測変換を使うことなく一瞬で文章を挿入することができるんです。

日下さんおすすめショートカットとツール

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Zendeskのインサイトを活用し、問い合わせが集中する時期を予測

クックパッド 立松)

インサイトとは、メールツールのZendeskに日々入ってくるお問い合わせを色んな切り口で解析できる機能になります。グラフの作成やクロス集計分析もすぐにできます。Zendesk特有の機能にタグやトリガといった概念があるのですが、それらを組み合わせて、お問い合わせに対して分析用のタグを自動で追加し、インサイトを作っていきました。
一次解決率の増減の要因や、お問い合わせのやりとりの中でのサービス改善の気づきなどを集めていくレポートを作成しました。 チケットの発生件数を去年と一昨年でグラフ化し、比較してみると、ほとんど同じような推移があることがわかりました。ここからお問い合わせが増加していく週だとか、この時期は落ち着くので他のことに集中できそうだねというのが想定できるようになりました。

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ダッシュボードを作った

さらに毎朝全員で確認する項目をパッと見ることができるようにダッシュボードを作りました。一番上にリリースカレンダーを埋め込み、その他朝の時点でのお問い合わせの運用状況の数値や、一次解決率と二次解決率でぶれがないかを確認できるようにしています。

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また、プラットフォーム別のお問い合わせ件数も出すようにしていて、例えば「android」の問い合わせが多ければ、何かトラブルが発生しているかもしれない?と推測できるようにしています。

人の努力ではなく、仕組みで誤送信を防止

クックパッド 立松)

Zendeskはとても便利なツールで、簡単なステップでメールを送信できます。
ただ、Zendeskはお客様の問い合わせに対する返信も、社内メンバーに対するメモ送信も、ページ右下のボタンで送信する仕様になっているため、社内メモとして書いた文面を間違ってお客様に送信してしまったというヒヤリハット事例が発生していました。
CTOに相談したところ、人の努力で再発を防ぐのではなく、仕組みを作って解決しようという話になりました。社内メモを保存するボタンを別に用意することで、完全に区別する仕組みを作りました。

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お問い合わせの量を常に把握し、対応改善につなげる

ココナラ 土屋)

弊社はConfluenceという社内共有のツールを使っています。また、プロジェクトや障害などのタスク管理はJIRAというツールを使っています。バグなどが発生したら、Slack上のCSや開発の共有ルームに通知される仕組みを作っています。

また、ZendeskとJIRAを連携させています。アプリなどで障害が起こっていれば、どれくらいの問い合わせがきているかというのを把握できるようになっています。インパクトがどれくらいなのかというのをすぐ把握できるので、その後の対応も部署横断的にスムーズに行えます。このような仕組みを作ったことで、お客様の不満を解消するスピードが向上しました。

ナレッジの管理に関しては、担当者を決めずに何となくチームでやるような形にすると、責任の所在が不明確になりがちなので、SOP作成や決済周りなどタスクに分け、メインの担当とサブ担当を決めて運用しています。

オペレーターがツールを使いこなせない場合はどうしてる?

参加者からの質問で、「リテラシーなどによって、ツールの使いこなしに差が出るがどうしたら良いか?」という質問があがりました。

活用する場所を作る

ココナラ 土屋)

例えば、前職でWindowsを使っていた人が今度はMacを使うことになるなど、そういったことがあるかと思います。ツールについては慣れだと思うので、使う場面を作ってあげる。まず場数が必要。

メリットを伝える

メルカリ 日下)

人はこうやれと言われると、やらないことが多い。でも「こうすればあなたの作業が楽になるよ!」とまずメリットを教えてあげれば、行動を起こしてくれるように思います。 また、しつこく言い続けることも大事だと思います。ツールを新たに導入したのに使っていないのを見た時は、使用を促すようにしています。

社内向けFAQの充実

クックパッド 立松)

新しいツールが出た時は、まず色々触ってもらいます。ユーザー向けのFAQ以上に社内向けのFAQを充実させています。短いGIF動画を用意すると、ぱっと理解してもらえるのでおすすめですね。

改善の声をどう組み込んでいる?

「日々のお問い合わせ対応の中で、どのように開発部門へ改善の声を共有しているのか?」という質問もあがりました。

生の声を届ける

ココナラ 土屋)

弊社はSlackにカスタマーボイスというオープンチャンネルを用意し、CSがフィルタリングをかけずに投稿するようにしています。対応するかどうかは別ですが、ダイレクトな声を社内に共有して、お客さまへの声に敏感になる雰囲気作りをしています。
また、月に1回は評価会を設けており、開発部門に対応して欲しい場合はデータを用意するなどして、検討→実装のサイクルを回しています。

自由に書き込めるチャンネルを用意

メルカリ 日下)

現在のチームでは私が意見を取りまとめて、開発部門側とミーティングをするようにしています。しかし、声が現場から上がってこないこともあるので、Slackで「tweets」というCSが日々思っていることなどをTwitterのような感覚で自由につぶやけるチャンネルを作りました。

まとめ

ツールがCSを加速させる

いかがでしたか。登壇した3社すべてで、普段のコミュニケーションだけに限らず、自分達が見るべき指標をチャンネルに投稿させることでメンバーに気づきを与えるなど、コミュニケーションのベースとなるSlackをうまく活用していました。

これまではツール同士の連携機能が充実しておらず、各指標を1箇所に落とし込むのには相当な労力がかかっていました。
しかし、各ツールがAPIやスクリプトを提供するようになった昨今では、データをつなぎ合わせれば自分達の望む形式で指標を出力できるようになりました。これによって、これまでは気が付けなかったお問い合わせの兆候などに気づけるようになるなど、カスタマーサポートの世界もよりデータドリブンになっていくのかもしれません。
毎日の数字を追うだけではなく、1週間、1ヶ月といった視点でCS業務を捉えることで、違うものが見えてくることもあるでしょう。

筆者もMOVE FASTということで、日下さんの紹介していたClipyが衝撃的で、早速自分のパソコンにも導入してみました。 挨拶文などのテンプレートが一瞬で挿入できます。とても便利なので、是非一度使ってみることをおすすめします!

以上、CS JAM #11 の様子をここ六本木からお届けしました。