2017年5月24日に株式会社エウレカが主催した、「Customer-Support.Tokyo #1」に参加しました。本記事では、イベントの内容や参加して感じたことについてまとめました。
「Customer-Support.Tokyo」って?
Customer-Support.Tokyo は、インターネットサービスにおけるカスタマーサポートの果たす役割の新たな発展を見据え、IT業界のみならず、さまざまな業界での事例や知見を幅広く共有し、議論をするイベントです。
今回が初開催となった「Customer-Support.Tokyo #1」。
第1回のテーマは、「“誠実さ"とは何か」。 一般消費者がお客様である3社のカスタマーサービス部門責任者の方々からお話が聞けるようです。
筆者の所属する会社では企業向けのサービス提供していますが、「誠実さ」は業界問わず欠かせない要素だと思います。そのため、今回どういったお話が聞けるのか、非常に楽しみです。 ということで、早速イベント会場へ。
カスタマーサポートに興味関心を持つ人も80名近く集まるということで、新しい繋がりもできそう!?
19:20、会場に到着!
会場の後方には、ビールやソフトドリンク、軽食が準備されていました。
19:30。参加者の方々も集まり始め、いよいよ「Customer-Support.Tokyo #1」のスタートです!
19:35〜、メルカリの考える”誠実さ”と”安心・安全”
まずは、メルカリ山田さんの発表です。 テーマは、「メルカリの考える”誠実さ”と”安心・安全”」。
株式会社ミクシィのカスタマーサポート部門の責任者として約7年間従事。ソーシャルゲーム業界団体・JASGAの立ち上げ、青少年保護に関わるサービス健全化施策を実施。2014年5月に株式会社メルカリに参画。カスタマーサポート部門のマネージャーに就任し、仙台拠点の立ち上げやカスタマーサポートの業務設計、メンバーの採用・育成を担う。
フリマアプリ「 メルカリ 」のサポート体制は、24時間365日体制となっているようです。現在では250名近い人員がサポート業務に従事しています。
山田さんは、安心安全についての考えを「ハサミとバイク」に例えて説明していました。
「使い方によってはハサミも危ない道具。しかし、通常ハサミが凶器として認識されることはなく、法律で過剰に規制されることもないですよね。バイクも同じです。バイクも不良の乗り物と呼ばれていた時代がありましたが、今ではかっこいいプロダクトとしてのイメージがあります。 重要なのは、一定のルールを定めながらプロダクトの安全性を高めていく努力や、正しい使い方をしっかりと啓蒙していくことです。それが利用者の安心安全に繋がると考えています。リリースして間もないサービスは、ときに周囲からの正しい認識が得られず、危険だと言われることもあります。しかし、そういった際でも根気強く正しい使い方や価値を啓蒙していかなければなりません。」
続けて、誠実さについてもこのように話していました。
「私たちは顧客と対話し、ガイドラインを適切に整備し続け、魅力あるマーケットプレイスを守っていくことを大切にしています。そのため、なんでもかんでも禁止にするのではなく、顧客との対話によって最適解を見つけるように心がけています。何かトラブルが起きたときにすぐにその行動を禁止するのではなく、顧客と対話しながら、そのトラブルの背景を探るようにしています。こういった姿勢を持ち、魅力あるマーケットプレイスを作っていこうとすることが、私たちにとっての誠実さです。なんでもかんでも禁止にしてしまえば、サービスの魅力はどんどん失われることになります。」
19:50〜、全ての人が、ランサーズのPFを用いて自分らしく“安心”して働いていただくために
続いて、ランサーズ冨樫さんの発表です。 テーマは、「全ての人が、ランサーズのPFを用いて自分らしく“安心”して働いていただくために」。
大学卒業後、通信業界でスーパーバイザーなどを経験し、その後CtoCファッションサイトのカスタマーサポート責任者を経験。2013年6月からランサーズのカスタマーサポートの責任者としてジョイン。ランサーズのカスタマーサポートや監視チームの責任者としてメールやチャットサポート、サポートのAI化などに取り組む。また、ランサーズ株式会社の品質向上委員会PMとして同サービスの品質向上にも務める。
クラウドソーシングのマーケットプレイスを運営する「ランサーズ」では、主に3つの軸で利用者様の安心安全を確保できるように取り組んでいるそうです。
1. メールサポート
・リソース:10人月 ・サポート時間:8:00~25:30 ・件数:250件以上/日 ・利用ツール:zendesk
2. チャットサポート
・リソース:2人月 ・サポート時間:10:30~18:30 ・件数:30コンタクト/日 ・利用ツール:AIメッセンジャー
3. 監視業務
・24時間体制での監視
サポートは、自社雇用と自社フリーランスに発注して、行っています。 国内には、東京・神奈川・埼玉・北海道などに18名のスタッフがいて、深夜対応をするためにスコットランド、アルゼンチンに住んでいる方にも発注しています。
サービスの安全性を脅かすリスクとしては、悪質違反者の再登録や違反の仕事依頼(例:卒業論文執筆の代行など)があるそうです。 そこで、悪質会員の再登録防止のために利用制限を実施しています。また、悪質な仕事依頼を防ぐためには、24時間体制で監視したり、悪質な案件をテクノロジーを使って検知できるようにしています。
そして、品質向上委員会を立ち上げたり、通報制度を強化するなどして、サービスを安全性を高めるようにしています。
20:05〜、Pairsカスタマーケアの安心・安全に対する取り組み
最後は、エウレカ安信さんの発表です。 テーマは、「Pairsカスタマーケアの安心・安全に対する取り組み」。
テレマーケティング会社を経て、主に外資系メーカーや小売業にてCS部門の立ち上げ・インハウス化・アウトソーシング化のマネジメントを経験。2016年2月、エウレカに入社。恋愛・婚活マッチングサービス『Pairs』のCS部門責任者として、チームの立ち上げ・育成に従事している。
恋愛・婚活マッチングサービス「Pairs」を運営するエウレカでは、会員がパートナー探しに専念できる状態を維持するために以下のことに取り組んでいるそうです。
1. メールサポート
・形態:インハウス(自社運用) ・サポート時間:10:00~22:00 ・件数:約300件/日
2. 投稿監視
・形態:アウトソース ・サポート時間:24時間365日 ・件数:約74,000件/日
3. 違反報告対応
・形態:インハウス(自社運用) ・サポート時間:10:00-22:00 365日 ・件数:約300件/日
安心安全を脅かす原因としては、不正会員の登録(目的外利用など)や誹謗中傷を行う会員の存在などがあるとのこと。そこで、人的なリソースを割いてパトロールを強化したり、本人確認ルールを見直したりするなどして対応しています。
また、今後はチャットサポートの導入を検討しているようで、タイムリーなレスポンスができるように構想を練っているそうです。チャットサポートを導入することで気軽に問い合わせをしてもらい、より安心安全な利用環境の整備とユーザビリティの向上につなげていければとのことでした。(※なお、チャットサポートは2017年6月1日より提供開始しています。)
20:25〜、質疑応答・懇親会
参加者同士で名刺交換をするなど交流を深めている様子が見受けられました。また、登壇者の方々へ質問をする方も多く、カスタマーサポートに興味関心を持つ方々の熱が伝わってきました。
まとめ
今回のイベントを通して、多くのユーザーを抱えるサービスにおいて日々どのような問題が起き、それにどう対応しているのかということを知ることができました。 各社の安心安全の取り組みについては、あまり知る機会がないように思います。WEBサイト上に少し記述があっても、現場責任者がどういった考えを持ち、日々業務に取り組んでいるかということは知ることができません。
今回のイベントは、そういった普段知ることのできないことを知る機会になったということで、非常に有意義でした。今後もこのようなイベントを通してなかなか発信されることのない各社のカスタマーサポート体制や事例が発信されていくことを期待したいと思います。
「Customer-Support.Tokyo」は、今後も定期的に開催されていくかと思われますので、ご興味ある方はエウレカグループのメンバーになっておくといいかもしれません。 eure.connpass.com
以上、初開催となった「Customer-Support.Tokyo #1」参加レポートでした!