多くの企業がCS(=Customer Satisfaction,顧客満足)を重要視してビジネスを行っていることでしょう。本記事では、そんなCSの一歩先を行く「CD」とは何かについて書きました。
「CD」とは何か?
CDとは、Customer Delight (カスタマーディライト)の略称で、“顧客感動”という意味で使われています。 素晴らしい顧客対応で定評のあるザ・リッツ・カールトンやJT(日本たばこ産業株式会社)でも大切にされている考え方です。JTでは、約10年前に新しいコーポレートスローガンとして「The Delight Factory」を策定するほど、顧客の期待を超える驚きや喜びを与えることを大切にしているようです。
顧客を満足させるということは、顧客の期待値が1のときに、1のサービスを提供するということです。 一方で、顧客を感動させるということは、顧客の期待値が1のときに、1を超えるサービスを提供するということです。 CD(顧客感動)を実現するためには、CS(顧客満足)を実現する以上の創意工夫が必要となるでしょう。
では、Customer Delight (カスタマーディライト)を実現するためにはどういった取り組み、心掛けが必要なのでしょうか?
カスタマーディライトを実現するために必要な3つの取り組み
以下に、Customer Delight (カスタマーディライト)を実現するために必要な3つの取り組み、心掛けをご紹介します。
1. 顧客の期待を知る
顧客に感動を与えるには、まず顧客の期待していることを知る必要があります。顧客感動とは、顧客の期待値を超えることに他なりませんから、そもそも顧客はどういったことに期待していて、その期待値はどの程度なのかということを知ろうとしなければなりません。 例えば、ECショップに対して顧客は自分が注文した商品が確実に手元に届くこと、それができるだけ早く送られてくることなどを期待しているでしょう。まず、こうした当然ともいえる顧客の期待を満たすことから初めていきましょう。その上でどういった付加価値を提供すれば、顧客は喜ぶのかということをアンケートや顧客との何気ないコミュニケーションの中から拾い上げるのです。日々のそうした活動の積み重ねが、顧客感動を生み出す土台となります。
2. 自己裁量で最適なサービスを届ける
サービスを届けるタイミングも非常に重要です。顧客が感動を得られるタイミングは、限られています。ここ!というタイミングで顧客の求めるサービスが提供できなければ、意味がないのです。そうしたタイミングをみすみす逃すことがないように、自己裁量でどういったサービスを提供するのかを決定できるのが理想的です。 サービスを通して顧客感動を多く生み出してきたザ・リッツ・カールトンでは、スタッフに1日20万円の決裁権があるそうです。そのため、スタッフは顧客が喜ぶと思えば、自らの判断でお花を買って届けることもできるのです。上司に確認を仰いでいる間に今しかないというタイミングを逃してしまうことはないのです。
3. 顧客の声や事例を蓄積し、共有する
顧客によってどういった期待を抱いているかは様々です。そのため、一概にこういう対応が良いとも言い難い部分があります。そこで、まずは顧客が喜んでくれた事例や顧客とのコミュニケーションの中の何気ない一言や要望を社内で蓄積し、スタッフ間で共有するといいでしょう。様々な事例を知ることで、顧客の期待を上回るためには何が必要なのかということがわかる場合もあるでしょう。また、顧客一人一人の対応履歴を管理することも非常に重要です。前回の対応がそのまま期待値になっている場合もありますので、前回の対応履歴を管理できるような体制、システムを準備しなければなりません。
まとめ
今回は、顧客感動を意味するCD=Customer Delight (カスタマーディライト)についてご紹介しました。 また、顧客感動を実現するために必要な取り組みについてもご紹介しました。
CS(顧客満足)に比べて、CD(顧客感動)という単語にはまだ馴染みがないかもしれません。 しかし、多くの企業が顧客満足を追求していく中で顧客の期待値もどんどん上がっています。 そうした中で私たちに必要なのは、1の期待に1で返すという姿勢ではなく、1の期待に1以上で返すという更なる高みを目指す姿勢なのではないでしょうか。
本記事をきっかけに、Customer Delight (カスタマーディライト)について考えみてはいかがでしょうか。
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