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顧客第一という考え方の罠

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顧客第一!を優先しすぎたあまり、従業員が満足した環境で働くことができない場面が多く見られます。全員が幸せになる上で必要な従業員の満足度について考察します。

従業員が満足せずに、顧客を満足させるサービスを提供できるはずがない

顧客第一という考え方は、顧客のいうことを全てにおいて最優先に取り組み、時に無茶な要求が来たとしても対応する力が求められることがあります。その要求に応えるため、寝る間も惜しんで対応する姿は時に顧客第一として正当化される場合もあることでしょう。

しかし、それによって企業の財産となる従業員を疲労させ、製品の品質はもとより働くことに対する意欲を低下させる危険性があります。 働く意欲の低下は大きな問題です。それによって従業員がすぐに入れ替わりになるような状態になると、技術やノウハウがたまっていきません。会社という組織においてチームワークが乱れ、今まで通りの品質やサポートを提供することが困難になります。顧客を優先しすぎたあまり、自社の品質や従業員の幸福度を置き去りにしてしまうことになるのです。

一部の企業では、顧客よりも従業員とその家族の幸せを最優先している企業があります。そのためには企業の急激な成長や目先の利益よりも企業の持続に重きを置き、将来の景気などの外的リスクに備えて堅実な経営をしているのです。それが長く会社を愛し続けてくれる従業員と、高い品質を生み出す源泉となっているのです。その結果、顧客の期待を裏切らず、常に顧客との良好な関係を保ち続けた理想的な企業があります。急激な成長が求められる昨今ですが、このように愛され続ける、持続できる企業を目指すことも経営方針として検討に含めるべきでしょう。

そのような企業でのカスタマーサポートこそ、理想とも言えます。長く愛し続けてくれている顧客と対話を通してより良い関係を築いていく。お互いが強い信頼関係で結びつかれたものは、そう簡単に離れることはありません。苦情ばかりのサポートよりも、"いつもありがとうございます。今日はどうされましたか?" といった会話の方を望むのは誰でも同じです。

すべての顧客を受け入れるジレンマ

この話は、特に営業サイドと衝突が起こることが多いと言われています。営業サイドからすればせっかくの目の前にお金を払っていただける顧客がいるのに、みすみす逃す感覚に陥ります。大きな顧客であればあるほど、自分の営業成績に関わるため何としてでも獲得したいと思うことでしょう。しかし、それが逆にサポートなどの運用担当に大きな負担を強いることになり、本来大切にすべきだったメインのターゲット顧客の対応をできずに、1つの企業のために時間を取られ過ぎてしまうリスクがあるのです。

これはあらかじめ経営の方針として話し合っておくべきことです。大きな企業が目の前に現れた時、本当に自分たちが対応すべきなのか。大企業との契約自体は顧客となっていただければ大きな信用を生みますし、次なる顧客獲得への良い説得材料ともなります。会社によってメインのターゲットとする顧客はそれぞれでしょう。今後の戦略として、今の顧客よりも理想的な顧客であれば、それはやるべきでしょう。しっかりと話し合って決めるようにしましょう。

サポート担当としてできること

この話は経営陣だけの話なのでしょうか。私はそうは思いません。一番顧客とコミュニケーションをとり、反応を知っているカスタマーサポートだからこそ、言える意見は必ずあります。顧客第一と言っている企業に限ってそのようなカスタマーサポートの意見を聞かないような経営者がいる場合もあるかもしれませんが、そこは強く言うべきであり、面倒だと思われる存在になってでも強く主張すべきです。なぜならばその顧客の生の声をダイレクトに日々聞いているのはカスタマーサポートだけだからです。

カスタマーサポートでもしっかりと意見を言える環境こそが、カスタマーサポートにおける働きがいを生み、愛され続ける会社になるためには必要なのです。

今後はカスタマーサポートの立ち位置と働きがいの向上が良い経営にとって重要な要因になることでしょう。

従業員第一な環境が、本当の意味での顧客第一を生むのです。